沖夢紫とパイン、給食に 石垣市

ペースト状にした沖夢紫を袋詰めにしていくスタッフ=12日午前、真栄里の南風堂㈱ペースト工場

皮をむき、カットパインにしていく作業員=13日午後、於茂登地区近くの㈱農業生産法人石垣島SUNファームの加工センター
新型コロナウイルスの影響で旬の農産物の需要が落ち込んでいるのを受け、石垣市は、甘しょ「沖夢紫」とパインアップルを緊急的に市立学校給食センターの献立材料に取り入れる。今月から沖夢紫は9月までにスープとして計4食、パインは7月までにカットパインとして計4食。いずれも小中学校の給食に取り入れられるのは初めて。量的には多くはないが、農家や加工業者は「今後、新たな道が開ける可能性がある」と期待する。
政府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した特産品等の緊急地産地消拡大支援事業で、市は生産農家と加工事業者の所得維持を目的に加工業者に対し補助金を出す。沖夢紫加工事業者の南風堂㈱ペースト工場(大城智芳工場長)に冷凍ペースト1個につき35ー45円、パイン加工事業者の㈱農業生産法人石垣島SUNファーム(當銘敏秀代表取締役)には冷凍カットパイン1個につき34ー42円。供給量は沖夢紫355㌔程度、パイン178㌔程度になる見通し。
ペースト工場は、石垣市甘しょ生産組合(石垣英邦組合長、168人)の生産する量の95%を仕入れて土産用の原料にしているが、観光客の激減によって原料の買い上げ制限を余儀なくされている。
大城工場長は「学級給食は工場としても助かるし、何より生産農家が喜んでいると思う。良い物をつくっているというプライドにもつながるのではないか。給食で沖夢紫のおいしさに気付いてもらえるとうれしい」と話す。同社ではペースト以外の加工品の供給も検討している。
生産組合の石垣組合長は「組合としても、販路拡大をしようといろんなところにアプローチしている。地産地消の観点から学校給食に取り入れられることで沖夢紫の認知度が上がってくれれば」と期待する。
パインの生産から加工・販売までの6次産業化を実現している石垣島SUNファームは、関東圏の学校給食に石垣島産の冷凍カットパインを年間40万食出荷している実績があるが、地元給食への納品は初めて。
當銘代表は「地元では他の業者がやっていると思っていたので灯台下暗しだった。今後、学校給食という道が開ける可能性もある。子どもたちに地元のパインを紹介する場になる。給食センターでは、生果は扱いにくいと言うことなので、これに民間として貢献できることはありがたい」と話している。
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