陸自駐屯地工事を再開 中断から21日で沖縄防衛局
石垣市平得大俣の陸上自衛隊配備予定地周辺で国指定特別天然記念物カンムリワシの営巣活動が確認されたとして5月20日から中断していた造成工事を、沖縄防衛局は10日、21日ぶりに再開した。有識者の意見や石垣市との協議を踏まえ、営巣活動が確認された周辺で突発音が生じる岩石破砕作業を一時的に控えるなどの保全対策を講じている、としている。
同局によると、有識者からは▽抱卵期から前期巣内育雛期までの間は作業音の影響を考慮し、営巣活動が確認された周辺で突発的な作業音が生じる岩石破砕作業を一時的に控えることが保全対策の一環となる▽継続する作業についてもカンムリワシの行動を監視しながら影響が生じないよう配慮する必要がある▽引き続き(カンムリワシと)建設機械との接触に注意する必要があるーとの助言を受けた。
市教育委員会文化財課によると、有識者の指摘した巣内育雛期は、ひなが成育しメスがオスとともにエサ取りのために巣を離れるときを指すが、具体的な時期については個体によって異なるという。「営巣活動に変化がないかビデオカメラによる観察も必要だ」と防衛局に提案した。
営巣活動が確認された場所から「周辺」とする距離について防衛局は、この日の取材に対し「確認中」とした。
文化財課によると、防衛局との協議では▽営巣活動が確認された場所から離れた場所で作業を行い、突発音を出さない▽掘削などについても最大限配慮する▽カンムリワシの観察を継続するーなどの意見を伝えた。防衛局からは現行月1回の観察を2回に増やすことを検討しているとの説明を受けた。同課は今後も、同局が行う観察作業に同行する。
一方、防衛局は有識者の氏名について取材に「中立的な立場を確保する観点から公表を控える」と回答した。文化財課によると、本島在住の専門家で、同課は防衛局のカンムリワシ観察にともに同行したこともあるという。
工事が再開された現場では、入り口付近で岩石を囲むように足場を設置する作業が確認された。岩石破砕作業のための防音壁を造るためとみられる。燃料積載車、散水車などの車両の出入りも確認された。
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