沖夢紫の出荷先模索 市甘しょ組合
新型コロナウイルスの影響で観光客が激減し、菓子店の売り上げが下降線をたどり紅イモ「沖夢紫」の買い上げを制限したことで、石垣市甘しょ生産組合(石垣英邦組合長、168人)が、紅イモ「沖夢紫」の春植え(4~6月)作付けを減反するよう組合員に要請していることが13日までに分かった。各農家の生産量は、制限を設けた菓子店への供給量を超える見込みで今後、既存菓子店以外の販路確保が課題となっている。
同組合によると組合の沖夢紫を95%以上買い取っているという㈱八重山南風堂から、4月9日付で減反要請があった。同社は沖夢紫関連商品の販売が低迷する見通しを示し、昨年の秋植え分は買い取るものの、今季の春・夏植え面積は前年の半分程度にするよう求めている。同組合は臨時理事会を招集し農家に減反要請する方向性を確認、組合員に通知した。
沖夢紫は大きく春植えと秋植えがあり、2019年(1月~12月)の収量は年間259㌧で過去最高を更新。ことしは年間目標値を28㌶300㌧に定め、年間収量の約7割ある春植えは220~240㌧と予測していた。
同事務局が減反に応じるか組合員に確認したところ、約60人から減反する旨の報告を受け、20年春植えを17㌶170㌧強の見込みに下方修正した。ただ、南風堂が求める「半分程度」の規模を上回るため、組合は出荷先を失った沖夢紫の販路開拓が必要になっている。
石垣組合長によると、新たな販路確保のため市内青果店で出荷物の検品、沖縄本島の加工場での加工、酒造所との連携など調整中だが現時点で新規販路は定まっていない。
昨年1年間で5㌧余り収穫した60代男性=宮良=は、作付面積を約2倍に拡大する予定だったが減反要請で現状維持を決めた。ただ、面積拡大に伴い、昨年の収益で専用機械を仲間と共同出資で購入するなど投資もした。
「今後、収入は減るが買ってもらえないほうが心配。半分は買うとのことだが、買ってもらわないと困る。組合には販路を模索して、安心して売れるようにしてほしい」と求めた。
石垣市は17年5月、県が定める甘しょの拠点産地に認定されている。
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