外出や営業自粛など解除 観光事業者からは戸惑いも
新型コロナウイルス感染症により発令中だった竹富町独自の緊急事態宣言が7日に解除された。外出や営業自粛も解除され所用で石垣島を訪れる町民らがいる中、活動再開のガイドラインが示されていないことで観光事業者から戸惑いの声が出ている。国、県、石垣市の緊急事態宣言は継続中のため「歩調を合わすべきだ」との意見も。「観光業者とそうでない住民がいがみ合い二分されないか不安だ」と営業再開をちゅうちょする事業者もおり、ウイルスの移入を防ぎつつ経済活動を再開させる明確な緩和基準の設定が求められている。
町は政府、市の緊急事態宣言に伴い4月17日に措置へ踏み切った。同18~5月6日までを期間とし、町民へ外出自粛、営業自粛などを要請。各島でウイルス感染を防止するため、町民専用のチャーター便も運航させた。
解除理由として、5月に入り県内全域で患者が確認されていないこと、市が進めようとしている新石垣空港でのPCR検査、町が実施する石垣港離島ターミナルでの検温など水際対策を挙げ、石垣島を生活圏とする竹富町民の行動や生産活動を緩和させた。八重山で新たな感染者が発生した場合は再度、独自の緊急事態宣言も辞さない考えだ。
7日、各離島に向け出港する定期船には工事事業者や町民のほか、観光客と思われる人もおり、250人以上が乗船した。石垣到着便には役場での手続きや買い物、通院のため乗船した人が続々と降りてきた。
西表島大原から妻の妊婦健診に同行した30代男性は「通院なのでどうしても石垣に渡らないといけない。感染しないよう混雑を避け行動したい」と話した。
町民の中には宣言解除を肯定する人がいる一方で、営業再開をためらう事業者もいる。西表島カヌー組合(吉田隆志組合長、34事業者)は県独自の緊急事態宣言に合わせる形で31日まで営業自粛を決めた。吉田組合長は「各ガイドは苦しいが、県外客を多く呼び込む業種なので医療体制が整っていない島のことを考えると営業自粛延長は賢明だと思う」と理由を語る。自粛期間は県の方針によって延長、短縮の可能性もある。
黒島観光組合の桝谷秀明組合長は「竹富町だけ解除されても石垣や沖縄県が解除されなければ観光経済は回らない。ウイルスが持ち込まれるリスクが出るため、今回の解除を良く思わない住民もいる。住民同士に溝ができないか心配」と不安視した。
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