西表島干立地区 避難路の完成祝う
- 2020年03月23日
- 地域・教育
【西表】西表島干立地区で住民待望の避難路がこのほど完成し、事業主体の竹富町、地域住民、施工業者ら約20人が22日、完成を祝った。干立は海抜が低いため、津波時には集落に近い金座山(かなざやま)まで避難するが、山道が登りにくく整備が急がれていた。飯田晋平館長は「群発地震を機に集落の重要課題として歴代の公民館長が避難道整備を町に要請してきた。念願がかないとてもうれしい」と感謝した。町内で構造物を用いた避難路整備は今回が初めて。
町津波避難計画によると、干立の津波最大遡上(そじょう)高は14・9㍍。集落の裏にある金座山の避難場所は海抜約20㍍。集落端からは110㍍に位置しており、鳥居をくぐり、基(むとぅ)御嶽(拝所)前を通過し上っていく。
避難路は階段構造で延長65㍍、有効幅員2・25㍍。階段を上りやすいよう両側に2段手すりを設置した。
鳥居から28㍍まで琉球石灰岩を敷き、その先の広場までの37㍍を強度の高いGRP素材で整備。上部工は景観に配慮し、ウッドデッキ調にデザインした。
御嶽一帯はヤエヤマヤシ群落の自生地で星立天然保護区域に指定されており、町は環境省、林野庁、文化庁と調整し、樹林を伐採した。2019年8月22日に着工、2月28日に完成した。工事費は1億659万円。
整備計画は、1991年の西表島群発地震を契機に浮上。御嶽や避難場所までの道は悪く、雨で山道が崩れることもあった。避難所までの経路については複数案を検討した結果、既存の御嶽前から上るルートを選定した。
完成した避難路の階段を上った元公民館長の前鹿川徹さん(73)は「30年間要請し続け、素晴らしい避難道ができた。とてもうれしい」と笑みを浮かべた。
西大舛髙旬町長は「集落は両側を流れる川に挟まれ、海抜ゼロメートルの地区と認識している。防災危機管理の観点からなんとしても整備したかった。目標を達成でき感無量」と述べた。
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