子牛の平均価格、大幅下落 新型コロナの影響大 農家に先行き不安の声
- 2020年03月12日
- 社会・経済
八重山家畜市場と黒島家畜市場の3月セリが10、11日の両日、両セリ市場で行われ、子牛の平均価格が八重山が58万6003円、黒島が57万4471円と前回(黒島は1月)と比べ、それぞれ9万2368円(13.62%)、10万9271円(15.98%)もの大幅な下落となった。関係者によると新型コロナウイルスによる消費の落ち込みやインバウンドの減少が背景にあるとみられる。これを受け畜産農家に不安の声や心配の色が広がっている。
八重山家畜市場での子牛の平均価格は2016年10月に過去最高となる77万円を記録。その後、昨年2月に74万円、ことし2月は68万円と70万円台近くを推移していた。
今回は新型コロナによるインバウンド減少に加え、香港、マカオなどへの輸出停止、関税引き下げによる外国産牛肉の輸入増加が要因となり先月に比べ約10万円近く落ち込んだ。
購買者は「(輸入で)国内の価格が下がって、コロナウイルスだからダブルパンチ。売る側も(価格が)25%くらい下がっている。長期化すればもっと下がる可能性もある」と指摘。「正常化しても価格が戻るまで1、2カ月はかかる。肥育農家も離農していく可能性があるのでは」と語った。
畜産農家は「(今までと)全然違う。コロナ問題で肉が出回ってないから購買者もあまり買わないようにしていると思う。仕方ないところだけど今月、来月で収まるのを願っている」と不安げな表情を見せた。
別の農家は「仕方ない部分が大きい。国のイベント自粛などで肉の消費がなければ購買者も買えない。不安も感じるがどうなるかは神様も分からない」と苦笑いだった。
JAおきなわ八重山地区畜産振興センター畜産部畜産課の仲程信智課長は「下がることは覚悟していたがこんなはずではなかった。先が見えなくて不安だが、知恵を出し合い協力しながら皆で乗り切っていきたい」と語った。
八重山家畜市場では2日間で719頭が取引され、販売価格は4億353万円だった。最高価格は雌が71万7200円、去勢子牛(雄)が91万6300円で系統はいずれも父・百合白清2、祖父・安福久だった。
10日午前の黒島家畜市場では148頭が取引され、販売価格は7688万円だった。最高価格は雌が64万6800円で父・福増、祖父・百合茂、雄は88万4400円で父・紀多福、祖父・美国桜の系統。
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