3万年前の祖先に思いを 与那国島西崎に記念碑
- 2020年03月06日
- 地域・教育
「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」の記念碑とこぎ手たち。左から花井沙矢香さん、鈴木克章さん、宋元開さん、田中道子さん、村松稔さん、原康司さん=4日、西崎灯台脇(国立科学博物館提供、太田達也撮影)
【与那国】人類のルーツの謎に迫り、祖先が越えてきた台湾ー与那国島間の「3万年の航海徹底再現プロジェクト」の実験航海成功を記念し、独立行政法人国立科学博物館は4日、西崎灯台脇に記念碑を建立した。「3万年前の祖先に思いを馳せることのできる、新たな観光スポットに」と期待している。
同プロジェクトでは、旧石器時代人がどのように海を越えて日本列島に渡ってきたかを解き明かそうと2019年7月7日、台湾を出航。丸木舟を45時間余り漕ぎ、225㌔先の与那国に9日到着した。
記念碑は波の上に丸木舟が乗るデザイン。航海の様子をとらえた写真に「最初の琉球列島人は3万年以上前に黒潮の海を越えてやってきた 彼らの挑戦を知るため丸木舟の実験航海 男女5人が台湾を発ち 45時間かけて与那国島にたどり着いた」とメッセージを添えている。
こぎ手5人の名前、台湾の出航時刻、与那国の到着時刻なども記されている。
記念碑が建つ日本列島最西端の西崎灯台からの眺めは絶景。沖合には黒潮が流れ、好天時には水平線上に台湾が望める。
こぎ手の1人、村松稔さん(42)=与那国町=は「ここには日本最西端の碑もある。これまで黒潮を意識してこなかったが、人類は3万年前に黒潮に乗って日本列島に入ってきた。碑ができたことで、人類の偉業があった場所として想像ができるのではないか」と喜ぶ。
丸木舟プロジェクトチームのリーダー、国立科学博物館人類研究部人類史研究グループ長の海部陽介氏は「実験航海には意味があり、それを継承していくことが重要。豊かな自然のなかに人の歴史があることを考えてもらうきっかけになれば。黒潮の海を渡ってきた人たちがいたことに思いをはせ、深い意味を理解してほしい」と話している。
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