住民投票義務付け訴訟 「28条に反している」
【那覇】平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票をめぐり、石垣市住民投票を求める会(金城龍太郎代表)のメンバーら50人が市自治基本条例28条に基づく石垣市への実施義務付けを求めている訴訟の第3回口頭弁論が13日午前、那覇地裁(平山馨裁判長)であった。原告側が同条例の市民検討会議委員だった福岡県在住の大学教員・上村真仁氏の陳述書を提出、上村氏は市の行為について「28条の1項と4項に明らかに反している」と指摘した。
陳述書で上村氏は、市の有権者の4分の1の連署を集めた住民投票請求を議会が否決したとの理由で市長が投票を実施しないことについて「私たちが提案し、審議会などで支持を得て制定された現行の石垣市自治基本条例28条の1項と4項に明らかに反している」と指摘した上で「『市民が主役のまちづくり』のルールを定めたものが市自治基本条例。市長は早急に住民投票を実施すべきだ」と求めている。
原告の1人、宮良麻奈美さん(27)が意見陳述を行い、「この条例がどのような意図をもって制定されたのか、誰が見ても明白。市民の政治参加や意思を尊重すべきだから存在する。行政側にとって法律や条例が不都合だからと言って簡単に解釈を変えてしまえるなら、日本は民主主義の国とはいえない」と批判、「市民の暮らしやそれぞれの地域で生きていくために培ってきた民主主義の結晶をこのような形で排除していいのか。一日でも早く住民投票を実施できるよう賢明な判断を切に願う」と訴えた。
準備書面によると、市側は条例27条1項を根拠に、28条についても「住民投票の実施には案件ごとに条例の制定が必須と解釈すべき」と主張、原告側は、同27条が住民投票を義務付けている28条4項の「所定の手続」を規律するものではないと反論した。
平山裁判長からは原告に対して「原告側が処分といっているものの具体的な中身は何なのか、現状で明確でない要素がある」との指摘があり、4月14日の次回期日までに書面で明確にすることを確認した。平山裁判長は、次回期日までに仮の義務付けの審尋期日を設ける予定はないとした。
報告集会で原告代理人の一人、中村昌樹弁護士は「宮良さんの意見陳述は裁判官の身を引き締める素晴らしい内容だった。市民に声を上げ続けてもらいたい」、同会事務局の安里長従司法書士は「自由と民主主義を奪われている問題に対して連帯していこう」と呼び掛けた。金城代表(29)は「それぞれの立場で戦い続けよう。小さな積み重ねが大きな力になる」と述べた。
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