住民投票否決1年 陸自配備、重要局面に
平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問うため、石垣市住民投票を求める会(金城龍太郎代表)が1万4263筆の署名で直接請求した住民投票条例案が市議会で否決されてから1年が経つ。否決後、住民投票を求める運動は訴訟にまで発展、13日には第3回口頭弁論が行われる。一方、現場では造成工事が始まり、市は公有財産検討委員会で予定地にかかる市有地の売却・貸し付け方針を決定した。21日から始まる3月定例議会に市有地処分案が上程される可能性があり、陸自配備をめぐる動きは重要局面に差し掛かる。
直接請求の住民投投票条例案は昨年2月1日、市議会で採決が行われ、10対10の可否同数の結果、平良秀之議長の裁決で否決となった。これに代わる条例案は野党から提出されたが、賛成少数で否決され、求める会は「どうすれば市民の声が反映されるのか。どんな数を持ってくれば認められるのか」と打ちのめされた。
ところが、その後、住民投票を規定する自治基本条例第28条の逐条解説に「地方自治法第74条(住民の条例制定改廃請求権)に基づくものの一つとして、住民投票条例について請求できることを定めている」と明記されていることが確認された。
求める会は当初、自治基本条例に基づいて請求を行う予定だったが、手続き規定がないため、地方自治法に頼った。逐条解説からは、地方自治法に基づいて請求し、自治基本条例第28条4項(4分の1以上の署名)の要件をクリアすれば議会の判断に関係なく市長には実施義務が生じるとの解釈が成り立つ。これを根拠に訴訟に踏み切った。
金城代表(29)は「認め合おうという運動をしてきたので、対立の構図になるのかなと訴訟にはためらいがあったが、条例を勉強する中、逐条解説の存在を知り、請求の仕方は間違ってなかったと確信できた」と言う。
司法の判断が示される前に議会で採決される可能性のある市有地の処分について「市民の財産をどうするかという重要な判断になる。首長や議会が何を根拠に判断するのか気になる」と指摘、「僕らはいろんな人たちの協力で署名をもらった。住民投票を実現することが責任を果たすことになると思う」と語る。
「住民投票否決後、自治基本条例を勉強することができ、いろんな人たちの意見も聞くことができた。議論の場が島外にも広がった。同世代の若者も関心を持ってくれた。こつこつと継続して積み重ねることでしか、自分たちの未来は近づいて来ないと感じた」と1年を振り返った。
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