伝統的行事継承 行政の関わり不可欠 三木剛志氏が講話
- 2020年01月09日
- 芸能・文化
【与那国】伝統行事や民俗芸能が後継者不足から危機的な状況にあることを踏まえ、一般社団法人・与那国フォーラムは、公益財団法人・日本離島センター広報・調査課長の三木剛志氏を講師に、このほど、DiDi与那国歴史資料館で講演会を開催。三木氏が「離島における伝統的行事の現状と課題」をテーマに講話した。
三木氏は離島振興推進の立場から、現地調査で見聞した対馬(長崎)、下甑島(鹿児島)、十島村(同)などを例に挙げ、そこで行われ演じられる国の無形文化財に指定、選定されている神事や伝統行事、芸能伝承の現状に触れた。
大分県「姫島の盆踊り」は、学校の「ふるさと教室」で地域の大人が指導、子どもたちは伝統行事の継承に意識がしっかり芽生えている。
「こしき島のトシドン」(鹿児島)は、藩の時代に行われた情操教育の民俗行事でしつけ風俗として知られ、2009年にユネスコ「無形文化遺産」に登録され、保存会再結成のきっかけとなり今に至っている。また別の自治体は、U・Iターン定住施策を実施して人材流出の歯止めに奏功した。
三木氏は、他の島々の施策例にも触れ、伝統的行事の継承は行政の関わりなしには立ち行かないことが分かったという。
多良間島の「八月踊り」を現地で鑑賞した町企画財政課の小嶺長典課長は「与那国は考えは極端だが、公民館または役場が主導するかに話がいき着く」と言い、いずれでも放置できない問題だと話した。
これまで節目の年に行われた与那国島の節願祭の組踊りや狂言などはこの13年間、演じられていない。後継者が育つには数年はかかる。芸能伝承に関わる保存会関係者は、後継のなり手がいないことに頭をかかえており、講話の例を参考にしたいと話している。(田頭政英通信員)
関連するニュース
- 民俗芸能、幼少期から関わりを 2018/08/16
- 幼少期から体験で継承を シンポジウムで提言 2018/01/28