祖納と干立で厳かに節祭
- 2019年10月31日
- 芸能・文化
【西表】500年以上の歴史を誇る国指定重要無形民俗文化財「西表島の節祭(シチ)」の世乞い(ユークイ)が30日、西表島祖納と干立の両集落で厳かに執り行われた。農民の正月とされる伝統行事はフダチミを先頭にしたアンガー行列、奇声を発し滑稽な動きを見せるオホホなど独特の芸能が奉納され、一年の五穀豊穣(ほうじょう)を神に感謝し来年の世果報と住民の無病息災を願った。
早朝、両公民館で世乞いの幕開けを告げるドラが鳴り響く。干立は朝の満潮時刻に合わせ午前8時半にニライカナイから世果報を呼び込むパーリャ(舟こぎ競漕)を行った。干立御嶽奉納芸能では一番狂言の天上天拝、女性らによるアンガー踊り、二番狂言の早使いに川平早使い、三番狂言の牛追い狂言披露の後、ミリクが御嶽の境内に登場すると、奇声とともにオホホが現れた。女性を手招きして誘い会場から笑いを誘ったほか、取り出した札束を客席めがけて投げ子どもたちは大喜びで拾い集めた。
飯田晋平館長は「ことしは5、6年に一度の朝の満潮時間に合わせてスタートさせた。お宮での奉納まで無事終わりほっとしている」と胸をなでおろした。
祖納公民館では正午に人間から神に代わるスリズの儀式が始まった。ミリク神一行は集落内を練り歩き前泊海岸へ移動。舟浮かべの儀式、櫂(かい)をこぐ動きで海の幸や平穏を願うヤフヌティを終え、ミリク行列、アンガー行列が姿を見せるとカメラマンや来場者が一斉にカメラのシャッターを切った。一行は船元の御座に着座、狂言や棒術、婦人アンガー巻き踊りを楽しんだ。
ユークイ儀式は午後5時前に始まり、ドラや太鼓に呼応する形で「サーサーサー」の掛け声が海岸に響いた。舟子22人は力いっぱい櫂をこぎ、まるまぼんさんを回りゴールを目指す。ことしは赤が勝利し、こぎ手の1人がパチカイ言上を述べた。
那良伊孫一館長はあいさつで節祭の語源などを説明し「平安王朝時代の絵巻世界に類似するとも、決して劣らない西表島の節祭をゆっくりと観覧してください」と述べた。
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