石垣市防災講演会 3.11体験者、齋藤氏講話
- 2019年10月31日
- 地域・教育
2019年度石垣市防災講演会(石垣市主催)が30日午前、市民会館中ホールで市役所職員を対象に開かれ、東日本大震災体験者で一般社団法人大船渡津波伝承館館長の齊藤賢治氏が、「東日本大震災『あなたに助かってほしいから』」と題し講演した。齊藤氏は東日本大震災の教訓から、被災時の最良の行動を紹介。「高台に避難」「車に乗らない」「(家、職場に)戻らない」など指摘した。
岩手県大船渡市で被災した齊藤氏は災害時に逃げ遅れる人の精神状態について、「正常性バイアス」が機能している面を紹介する。これは、危険な状態でも「ある程度は正常」と判断する心のメカニズム。同氏は津波避難の標語、「津波てんでんこ」の順守を求め、「地震が来たら津波が来る。すぐ高台へ避難、そして決して戻るな」と訴えた。
同氏は、津波時に逃げない行動を取る人について、▽津波の知識がない▽車の中では津波の迫る様子が分からない▽土地勘がないから避難の方向が分からない—など分類。「車で歩行者を跳ねて逃げるなど、考えられない事象が起こるので、考えて訓練を。家庭、職場などいろいろなグループで(非常時を)考えることが大事」と話した。
また、死者の中に車内で亡くなった事例が多いことも説明。車で逃げると渋滞に遭うため、「車を降りて高台に逃げることで助かる。できれば車を使ってほしくない」と注意する。渋滞している方向が、高台と逆方向となっている写真も示し、「津波だから高台に逃げているわけではない。家庭か職場に移動しているのでは」と推測、職場などに戻らず高台避難するよう強調した。
ハザードマップでは遡上(そじょう)高が20〜30㌢と示されている避難所の天井まで津波が襲ったケースもあったことから、「ハザードマップはただの目安。高い所に逃げることが大事」と話した。
防災講演会は、災害時に弱者となりうる外国人を含む観光客への対応を学び、今後の防災対策に寄与することなどを目的。同日夜には市民を対象に行われた。
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