希少種を密猟から守れ 水際対策の強化へ
- 2019年09月21日
- 地域・教育
環境省沖縄奄美自然環境事務所は、沖縄と奄美大島で希少動植物の密猟・密輸対策の強化に乗り出しており、八重山担当者会議を20日、竹富町役場で開いた。行政、防疫、検疫、税関、警察、航空、運送、船舶など官民で包括的に連携しようと初めて設けられた。今後、パトロールだけでなく生息域外の水際対策を強化していく。今年度は合同パトロール、南ぬ島石垣空港での希少動植物識別研修などを予定する。
同事務所は関係機関と連携した連絡会議を1月に沖縄本島で、3月に奄美大島で立ち上げている。世界自然遺産登録も見据えた取り組み。八重山担当者会議は、石垣自然保護官事務所を中心に対策に関する情報共有化、意見交換、調整などを行う。
八重山で密猟・密輸が懸念されているのはキシノウエトカゲ(国指定天然記念物)、ヤエヤマセマルハコガメ(同)、ヤエヤマイシガメ(ワシントン条約付属書Ⅱ類)、ヨナグニマルバネクワガタ(国内希少野生動植物種)。昨年8月には、キシノウエトカゲとヤエヤマセマルハコガメを所持していた埼玉県内の男が文化財保護法の疑いで書類送検された。
同事務所によると、最近でも、種の判別には至っていないものの空港からカメが持ち出されようとしたり、郵便局からカエルが発送されようとしたりする事案が確認された。希少種の密猟、島外への持ち出しが増加しているという。
野生生物の取引を監視・調査するNGO、トラフィック・ジャパンオフィスが2018年に発表したリポート「南西諸島固有両生類・爬虫類のペット取引」によると、固有種・亜種の55%が国内・海外市場で取引されていた。
一方、水際対策では種の判別の難しさや法令上の規制の把握が課題として挙がっているため、担当者会議では希少生物の認識アプリの開発、野生動植物の捕獲・採取に関する法令の説明があった。
アプリは同省がNTTドコモと連携して開発。県や航空会社、郵便局などと連携して今年度に実証試験を行う。空港の保安検査用X線カメラで希少種がどのように映るか、警備会社なども対象に研修会を実施する予定だ。
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