市の景観基準満たさず のり面・擁壁高さ上回る
- 2019年08月23日
- 政治・行政
用地造成工事が進められている現場。のり面と擁壁の高さが景観形成基準を超過している=22日午前、平得大俣(提供)
景観形成審議会で沖縄防衛局の用地造成工事について意見を述べる委員ら=22日午前、市役所会議室
平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、現在計画されている土地造成工事でのり面と擁壁の高さが石垣市の景観形成基準を満たしていないことが22日、分かった。基準はのり面1㍍以下、擁壁2㍍以下だが、それぞれ最大で5㍍、7.6㍍と大幅に上回っている。市は同日、景観形成審議会(仲山久紀会長、12人)の意見を聞いた。「基準を超える理由を明確にすべきだ」との指摘があった。
沖縄防衛局が風景づくり条例などに基づき、市に提出した通知書によると、同局は、すでに取得あるいは賃借する旧ジュマールゴルフガーデン跡地13万3319平方㍍のうち11万7040平方㍍を施工範囲としている。
このうち1万926平方㍍で擁壁、11万7040平方㍍で切り土(24万9400立方㍍)と盛り土(36万4900立方㍍)、3万2650平方㍍で樹木の伐採を計画する。
工事区域は自然風景域にあり、開発行為に伴うのり面の高さは1㍍以下、擁壁を設ける場合は地表面から2㍍以下となっているが、いずれもオーバーしている。
景観審は同日午前、現場を視察した後、市役所で説明を受けた。委員からは「なぜ基準を超えたのか、どうして守れなかったのかをクリアにしないと意見を述べにくい」「基準を超える理由を示す資料がない。しっかり分かるようにしてほしい」などと、防衛局側に詳細な説明や資料を求める意見が複数上がった。防衛局側は緑化の対策を示した。
景観審は、基準を満たさない案件について市から意見を求められる第三者機関となっているが、委員からは「一部だけでなく、建物を含めた全体について意見を述べる場がほしい」などの要望があった。
学識経験者の池田孝之氏(琉球大学名誉教授、沖縄の風景を愛する会理事長)も「(防衛局に)全体の資料を求めることに事務局(都市建設課)は努力を」と注文を付ける一方、「公共事業の場合は通知するだけでいい。基準を超えていても機能上必要であれば良しとしなければならない」とも述べた。
景観審の意見については、市が防衛局に伝えるが、その後の対応は同局に委ねられることになる。
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