旧盆の季節になると…
- 2019年08月14日
- 不連続線
旧盆の季節になると、いつも心の支えとなった思い出す言葉がある▼ふるさとを離れていた頃、母親から掛けられた「お盆には帰ってきなさいよ」の一言。母親にとっては、息子の声をじかに聞き、顔を見せるだけで十分だったのかも知れない▼若かりし際はさほど気にかけなかったが、年を重ねるごとに言葉の重みが心に響きわたる。日常の生活に追われ、目先の豊かさを求めるあまり、最も大切にすべきものを見失ってはいないか。父母や祖父母がいて今の自分があるとの感謝の気持ちである▼人はいつどこにいても家族が住むふるさとは心の支えとなると思う。今年もそれぞれが違う環境にいてもふるさとへのいとおしみを忘れず、旧盆で帰省して久しぶり家族だんらんの親孝行をしている人も多いと思う。言葉のやりとりで家族の人情の機微がゆっくりと伝わってくる▼旧盆は祖先の霊を家に招いてもてなす。日ごろ疎遠にしている親類を回り、相互の近況を話したりする。親と子のぬくもりが伝わる家族の姿、変わることのない伝統行事はふるさととの絆を再確認する機会でもある▼この頃の夜空は美しく、月夜の中で先祖を供養する。あすはウクイピー(精霊送り)。残暑が残る中、体感的な涼しさを望めなくても心の清涼感で先祖に感謝する気持ちを表したい。(鬚川修)
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