「サンゴがすめる環境保持を」 日弁連シンポ
大久保准教授が提言
日本弁護士連合会が主催する「海と島の観光資源の持続的活用を考える」シンポジウム(合会、沖縄弁護士会共催)が7日、石垣市民会館で行われ、開会のあいさつで沖縄弁護士会の赤嶺真也会長は「観光客が増える中、自然環境の維持という課題へどう対応していくのかを考える機会にしてほしい」と呼び掛けた。
基調講演では、東京経済大学経済学部の大久保奈弥准教授と東京大学大学院新領域創成科学研究科の田中俊徳准教授が「沖縄の珊瑚の特徴と保護の必要性」、「島の観光資源を持続的に利用するための方法と戦略」の演題でそれぞれ講演。
大久保氏は沖縄のサンゴの生態や現状などを説明し、人間の手でサンゴ礁生態系を再生することは不可と強調。県などが行うサンゴ礁保全再生事業や石西礁湖のサンゴ礁自然再生事業などの成果を疑問視。「増殖、再生事業ではサンゴ礁生態系は再生しない。サンゴがすめる水質などの環境を保つことが大切だ」と述べた。
田中氏は、観光やエコツーリズムの現状と課題について自然環境や利用価値など利用のルールが定められていないことが問題とし、アメリカやニュージーランドなど先進地の事例を紹介。自然公園法や沖縄振興特別措置法の保全利用協定、環境協力税のメリットやデメリットなどを解説しながら、過剰利用の問題や高付加価値の観光、持続的な観光への取り組みなどを提言した。
白保リゾートホテル問題連絡協議会の柳田裕行氏と川平の景観を守る会の橋爪千花氏によるの現地報告も行われた。
引き続き行われたパネルディスカッションには大久保、田中両准教授と橋爪氏のほかに環境省那覇自然環境事務所の藤田和也氏、白保魚湧く海保全協議会の新里昌央会長がパネリストとして参加。コーディネーターを日弁連公害対策・環境保全委員会の菅野庄一氏が務め、観光資源の持続的な活用について話し合った。
特別報告では、市観光文化課が現在の課題や今後の取り組みなどを報告した。
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