刊行記念交流で御嶽考察
- 2019年03月08日
- 地域・教育
「八重山の御嶽ー自然と文化ー」
八重山にある60カ所の御嶽と御嶽内に自生している巨樹・巨木、御嶽に残る唄などを一冊にまとめた「八重山の御嶽ー自然と文化ー」(李春子氏編書)の刊行記念交流会が7日午後、石垣市民会館展示ホールで開かれ、編集に携わった李、花城正美、前津栄信の3氏が八重山の御嶽を考察した。
花城氏は、小浜島に残る稲作と御嶽に関連した「唄」を紹介、農耕の過程から成り立つ唄に込める村人の思いを説明した。
小浜の唄や踊りの芸能が天候など、自然界の恵みへの願いに満ちていると指摘する一方、「島には稲作の成長に合わせたニンガイ(願い)があり、それが四季折々の唄に込められているが、時代の流れで御嶽への興味や認識が薄れている」と危機感を募らせた。
前津氏は、八重山の巨樹・巨木のほとんどが各村の拝所である御嶽の境内や御嶽林内に残っている現状を説明しながら、神の宿る聖地として尊ばれた御嶽に人々がむやみに足を踏み入れなかった理由に挙げ、「島の巨樹と巨木は人々の御嶽への信仰心で残っている。御嶽の巨樹巨木は立派な自然遺産だが、人々の価値観と地域生活様式の変化で失われている」と警鐘を鳴らした。
八重山の特徴的な御嶽の空間配置について調査した李氏は▽森の中にイビの香炉のみ配置▽イビー拝殿ー前庭ー参道の森の配置▽イビー拝殿ー前庭の配置ーの3種類あることを説明。「人間社会と自然環境は循環環境であることを八重山の御嶽の文化から探った。八重山の人々が循環する季節と自然に合わせて祭りを行い、安寧を祈る空間が御嶽である」とまとめた。
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