県に指導など求める 竹富島を守る会
- 2019年03月06日
- 社会・経済
沖縄県環境基本条例にもとづく住民の生活を守るための陳情を行う竹富島の住民や郷友会ら(右側)=5日午前、県庁環境部長室(竹富島を守る会提供)
自然環境への影響懸念
【那覇】竹富島のコンドイビーチ付近で計画されている「コンドイリゾート事業計画(仮称)」の開発行為が、竹富島憲章を順守する竹富島住民の生活環境への脅威にあたるとして、竹富島を守る会(阿佐伊拓会長)、竹富公民館(上勢頭篤館長)は連名で5日、沖縄県庁で「沖縄県環境基本条例にもとづく住民の生活を守るための陳情」を玉城康裕県知事と新里米吉県議会議長宛に行った。条例に沿って事業主の㈱RJエステート(一丸秀信代表取締役社長)=那覇市=に対し、必要な措置や厳しい指導を求めた。
陳情は「リゾート計画が環境汚染や島の希少動植物に影響を及ぼし、文化的景観も破壊しかねない」と懸念しているもので、内容は同条例の第3、5、6、16条に沿っている。
計画が島の自然環境に与える影響について▽コンドイ浜への事業排水によってサンゴや周辺海域の生物への影響▽光害、焼却炉からのばい煙、営業車両の増加によって生じる自然への負担▽島内に生息する国指定天然記念物や希少動植物への懸念ーなどが示されている。
阿佐伊会長はRJ側が予測から評価まで適正な環境調査を実施するよう強調。環境保全の見地から県へ必要な措置を講じるよう求めた。
また、宿泊客や観光客が増えることで、手いっぱいの状態にある竹富診療所への過度な利用や、急患対応のたびに出動する町消防団竹富分団への負担も不安視した。
陳情を受け、大浜浩志県環境部長は「条例や法令に基づいて厳正に審査し強く指導したい」と述べた。
陳情を終え関係者は、県庁記者クラブ室で会見を開き、上勢頭館長は過去にRJ側の行った説明会で威圧的な部分があったとして「事業者には条例に基づいた調査をしてもらい、公平な場所で住民との対話を望んでいる」と要望。
竹富島集落景観保存調整委員会の水野景敬会長は、以前から指摘している給水問題などに言及し、「事業者に計画内容の公開を求める質問状提出も検討している。島に戻り住民と相談してどういった行動を取るか決めたい」と話した。
阿佐伊会長は同条例が竹富島憲章の理念と重なるとして「島の自然や伝統的な景観、文化は先祖から受け継がれてきたもの。先人が残したものを守り継いでいくため今が正念場だ」と力を込めた。
計画の詳細な説明を求められたRJ側は八重山毎日新聞の取材に「ノーコメント」としている。
【沖縄県環境基本条例】 県民が健全で豊かな環境の恵沢をする権利を、住民・事業者・行政が協力して県独自の豊かな自然環境の保全を創造し、安らぎと潤いのある暮らしを実現するために定めた条例
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