反対住民「やり方姑息」と怒り
- 2018年07月19日
- 社会・経済
中山義隆市長の受け入れ表明に抗議する野党連絡協議会のメンバー
陸自配備計画受け入れ表明
「収穫の真っ最中なのに」。陸自配備予定地の平得大俣地区周辺の反対住民は、中山義隆市長の陸自配備受け入れ表明の報に落胆するとともに「やり方が姑息(こそく)だ」と怒り心頭に発した。中山市長は2016年12月の諸手続き開始了承について「受け入れ可否の最終判断ではない」と釈明していたが、結局はこれが事実上の受け入れ表明だった。一方、推進派は「英断を評価したい」と歓迎した。
配備予定地周辺ではマンゴーやパイナップルを生産する農家が多い。現在、収穫のピークを迎えており、出荷作業に追われている最中の受け入れ表明だった。
石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会の金城哲浩共同代表もその一人。「今が一番忙しい時期なのに」とがっくり。「結局、2016年の手続き了承が配備を容認するものだった。だから防衛省が入札公告を行っても手続きを認めた。市民には、島の真ん中に基地ができることを考えてもらいたい。水の問題も分かってもらいたい」と話した。
同じくマンゴーを生産する開南公民館の小林丙次館長も「農業の忙しい時期を狙われた感じがする。自分の時間さえつくれないのに。もともと始まりからやり方(諸手続きの了承)が姑息だった」と不信感を増幅させ、「署名活動でも、好ましくないという市民が多かった。黙って見過ごすことはできないのではないか」と反対運動の盛り上がりに期待。
石垣島自衛隊配備推進協議会の三木巖会長は「良かった。防衛省は業務の入札公告も行っているので、今後、順調にいくと思う。3月の市長選でも(陸自配備に)同意を得て勝っている」と述べ、市長の判断が市民に受け入れられるとの考えを強調。
3月の市長選で、「陸上自衛隊駐屯地の石垣島配備計画に現職市長として理解を示している」などとして現職を推薦した八重山建設産業団体連合会の米盛博明会長は開口一番、「悩んだ末の決断だったと思う。英断を高く評価したい」とたたえた。
「業界の発展だけでなく、われわれは国防について意見を交わしている。中国の動きを見ると、早めに手を打たなければならない。南西諸島の防衛ラインを構築し、対外的に示す必要がある。市長をバックアップすべく具体的な行動を取りたい」と全面支援を明言した。
■「市民置き去り」「暴挙だ」 市議会野党連絡協議会
受け入れ表明を批判
中山義隆市長の陸自配備受け入れ表明を受け、市議会野党連絡協議会の長浜信夫会長らは18日、市内の事務所で会見し、「主権者である市民を置き去りにした容認は、許すことのできない暴挙だ」などと批判、「臨時議会を開いて説明すべきだ」と訴えた。
長浜氏は「市長は、配備は国の専権事項だとして唯々諾々と国に追従し、のらりくらりと言い逃れをしてきた。市長の立場としての責任を放棄し、国の手下に成り下がった。地元平得大俣地区住民の強固な反対を一顧だにしない横暴、強引な市長に断固抗議する」と述べた。
他のメンバーも「市長は国の専権事項と言いながら最終判断は適切な時期にと発言したり、態度そのものが矛盾している。諸手続きの開始を了承とした前回と今回は何がどう違うのか」「市民や4地区住民をバカにしている。言葉遊びで市民を翻弄(ほんろう)している」「新庁舎建設位置など、これまで行政手続きは住民の意思によって覆されてきた。市民の声を聞くという反省がまったくない」などと発言した。
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