高さ制限見直し 市を提訴
- 2018年05月18日
- 社会・経済
【那覇】石垣市が21日の景観形成審議会、24日の都市計画審議会、県知事協議を経て6月にも告示を予定する景観計画・都市計画景観地区の建物の高さ制限の見直しをめぐり、川平公民館の高嶺善伸館長ら住民12人が17日、「住民の景観利益に重大な損害が生じるおそれがある」として、市を相手に変更手続きの差し止めを求める訴えを那覇地裁に起こした。高嶺館長は同日、県庁で弁護団と会見し、「公民館として反対の決議をし、市や県、県議会に要請してきたが、議論の場がなく、このまま強行される恐れがある」と述べた。
訴状によると、市は石垣島の景観を保護するため2007年に景観法に基づく景観計画を県内で初めて策定、10年には都市計画法に基づき川平地区を景観地区に指定。しかし、今回の変更は、集落を除く川平半島について景観形成審議会の意見を聴くことで現行の7㍍以内から13㍍を超える建築物の建築を可能とする内容と指摘。高さ制限が緩和されると、高層のリゾートホテルの建設が進み、景観破壊や川平湾汚染につながるとしている。住民側は「実質的に高さ制限を撤廃するものだ」と批判する。
自然景観や歴史的・文化的景観がいったん損なわれると、回復が容易ではなく、永遠に失われる可能性もあるとして、良好な景観の恩恵を享受する住民の利益を侵害し、重大な損害が生じると主張している。
弁護団の金高望弁護士は「変更は景観法の目的や趣旨に反するもので、これを変更することは石垣市長の裁量の逸脱にあたり、違法がある」と述べた。変更案が告示された場合でも、取り消しを求める訴訟に切り替えて継続して争っていく考えを示した。
高嶺館長は「景観法が施行されてから石垣市は真っ先に景観行政団体になり、川平湾の風景や自然を守ってきた。今回の見直しはこれまでのすべてを否定し、逆行するもの。司法の判断を仰がないと後世に悔いを残す」と訴えた。
市は、変更について新石垣空港開港後の観光客増への対応や東日本大震災を受けた津波対策を理由に挙げている。
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