赤土からサンゴ守ろう 八商工で特別講義
- 2018年02月20日
- 地域・教育
これからの八重山を担う高校生らにサンゴ礁の保全再生の障害のひとつである、赤土流出問題に理解を深めてもらおうと特定非営利活動法人石西礁湖サンゴ礁基金(入嵩西正治理事長)の特別講義「沖縄のサンゴを救え!」が19日午後、八重山商工高校で開かれた。商業科観光コースの2年生15人が座学と土壌侵食実験を通して、赤土流出が生態系に及ぼす影響と抑制策を学んだ。
講師は、八重山を対象に農地などの陸域から海域までの流域環境保全を研究している宇都宮大学農学部農業環境工学科の大澤和敏准教授(41)。八重山の造礁サンゴの希少価値のほか、劣化要因となっている▽白化現象▽オニヒトデ食害▽赤土流出|の3点を紹介した。
沖縄は、島ゆえに河川の長さが短く、雨や風で土壌侵食が増大すると短時間で濁水が海に流れ込むことから、「浅瀬にいるサンゴに(赤土が)振りかぶってしまう。微細粒子が堆積して藻類が茂ることでサンゴの着床・育成への悪影響も確認されている」と懸念した。
また、土壌侵食は農家にとっても地力低下につながる要因になっているとして、「農家も生産高を失わず、環境も保全する、両方ともお得になる仕組みづくり」の必要性を強調した。
実験では、大澤准教授らが市内で調査した試験結果を基に、枯れ葉の被覆による赤土流出の抑制効果を確認。生徒らはむき出しの土に散水した場合とサトウキビの葉を土にかぶせて散水した場合の汚濁物質の流出量を比較した。
川奈詩織さん(17)は「観光コースとして石垣島の勉強をしてきたが、赤土とサンゴ礁の関連については今回初めて知った。島内観光ではダイビング需要もあるので、きょう学んだことをいろんな人に伝えていき、農家との関わりも持てたら」と展望を語った。
同講義は、2017年度沖縄県赤土等流出防止活動支援事業補助金を活用した。21日に八重山高校、22日には八重山農林高校でも実施される。
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