石西礁湖の自然再生 陸域対策の実施重要
石垣島と西表島の間に広がる国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」の自然再生を目的に設置されている石西礁湖自然再生協議会(会長・土屋誠琉球大学名誉教授、委員117人)は18日、八重山合同庁舎で第22回協議会を開催し、「サンゴ礁生態系の回復のきざしが見られるようにする。そのために環境負荷を積極的に軽減する」との短期目標(10年)の評価・検証を行った。今後、長期目標(30年)を踏まえて2018年度以降の行動計画を検討し、来年2月に決定する予定だ。
過去10年間の取り組みで達成できた点として▽赤土流出が少ないサトウキビの株出し栽培の面積が夏植え程度にまで増加するなど取り組みが進んだ▽関係機関・団体で情報を共有しながらオニヒトデ駆除を進め、サンゴに大規模な影響が及ぶ可能性が低いレベルにまで密度が低下した▽陸域からの栄養塩類がサンゴ群集に影響を及ぼしていることが明らかになった―などを確認。
今後の課題として▽株出し栽培の面積が増加したものの、人手や機械の不足、体制づくり、費用の捻出、農家への周知などを継続して取り組んでいく▽生活排水対策全体として、栄養塩類や化学物質の現状把握と対策を進めていく▽大規模な白化現象を見据え、サンゴ礁生態系の効果的・効率的な再生手法の検討をする―必要があるとした。
話題提供を行った委員のうち、東京工業大学大学院情報理工学研究科教授の灘岡和夫氏は「大規模サンゴ白化は再びやってくることを覚悟しなければならない」と指摘した上で「目指すべきは、良好な自然の回復力を持つ健全な海を取り戻すこと。そのためにはさまざまな陸域対策の実施が大きなポイントとなる。さらにわが国とアジア・太平洋諸国は問題構造と課題解決の必要性を共有しており、連携ネットワークを構築すべきだ」と提起した。
関連するニュース
- 石西礁湖 サンゴの白化率89.6% 高水温で被害拡大か 2016/09/01
- 石西礁湖 サンゴ白化 2016/07/27
- オニヒトデ幼生高密度で分布 世界初、石西礁湖で集団発見 2016/04/20