八重山食肉センター 血の出荷、一時停止 基準満たず設備導入へ
- 2017年05月27日
- 社会・経済
チーイリチー(血の炒め煮)やヤギ汁など汁物の素材として使用される豚・ヤギの血の出荷を、八重山食肉センターが6月から一時停止することが分かった。法律で定められた基準を満たしてないとする県八重山保健所の行政指導を受けた措置。定期的に血を購入している飲食店からは「ストックがあるから当面大丈夫だが、ゼロになると困る。早めに設備を整えてもらいたい」との声が挙がっている。同センターは現在、早期の出荷再開を目指し設備導入の準備を進めている。
国のと畜場法施行規則、食品衛生法施行規則などは、食用に供する目的で血液を採取する場合に▽採決後直ちに4度以下に冷却すること▽血液凝固防止剤注入器が自動的に注入できる構造のものであること▽血液貯留室が他の部屋と区画されていること—を求めるなど細かな規格基準を定めている。
センターは2014年4月に新設、供用されているが、血液採取の規格基準に沿った設備が整っていないことから、保健所が今月18日以降、「血液の採取は設備を整えてから行うこと」と指導。同センターは「食文化を守るため、基準に沿った採取ができるよう準備を進めており、詳細については保健所と調整し、できるだけ早く設備を整えたい」としている。
県内では、県北部食肉協業組合(名護市食肉センター)が2011年から指導を受けていたが、改善されていなかったとして4月に出荷停止の行政指導を受けている。
八重山食肉センターによると、同センターの場合は血液凝固防止剤注入器や専用の冷蔵保管施設などを導入すれば、基準をクリアできるめどがつくという。
センターは2016年度の1年間で豚1743頭、ヤギ278頭を処理。飲食関連業者の注文に応じて血を採取しており、血の量が多く需要の多い豚では年間で半数程度。
ヤギ料理を売りにしている飲食店経営者は「血は、メーン料理のベースになるもの。これがないと商売が成り立たない。早く設備を整えて安心させてほしい」と要望。
血を利用したメニューの拡大を予定しているという食堂経営者は「沖縄の食文化の一つがなくなると心配していたが、設備導入を準備していると聞いて安心している。今後、いろんな料理で使いたい」と話した。
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