「市長は民意を問え」 陸自施設配置案
平得大俣東への陸上自衛隊配備計画をめぐり、防衛省から17日提示された「石垣駐屯地」施設配置案が目と鼻の先にある開南地区では、不安と動揺が広がっている。誘導弾を保管する弾薬庫は集落から数百㍍の距離。境界線と隣接する住宅もある。開南公民館の小林丙次館長は「誘導弾は移動式なので石垣島のどこにも持って行ける。自衛隊配備は石垣島全体の問題。市長は民意を問うべきだ」と訴える。
案は、ゴルフ場側に施設配置が計画されており、事務庁舎と隊員宿舎を兼ねた隊庁舎3棟(1万5000平方㍍)のほか、射撃訓練をコンクリートの屋内で行う覆道射撃場(約9100平方㍍)、誘導弾と小銃弾などを保管する弾薬庫4棟(計2100平方㍍)などが予定されている。
初めて配置案を目にした子育て中の20代女性は「ここには建たないと思って生活していたので…」と言葉を失った。40代の夫は「自宅から県道を挟んですぐ目の前が駐屯地になる。近すぎる。グランドにはヘリが来るのだろう。市有地は市民の財産。市長ひとりの判断ではなく、市民の意見を聞くべきだ」と語気を強めた。
パインの収穫で忙しく、新聞にも目を通せなかったという當間勝さん(56)は「来ること自体に反対だが、場所は予想通り。集落に隣接するのもあり得ない。弾薬庫は200~300㍍しか離れていないだろう。市長は国の専権事項と言うが、何十年もここに住んでいる住民は何も言う権利はないのか」と憤った。
家業を継ぐためことし1月に福岡からUターンし、生産・販路拡大を目指して農業生産法人を立ち上げたという長男(24)は「帰ってくるまでは自衛隊問題は知らなかった。急にこんな話になって…。何が起きるか怖い」と不安げ。
一方、開南近くで水稲を営む平得在の鳩間昇さん(79)は「場所がどこであっても必要だ。自分の国は自分で守るのが国際社会の根本。防衛できる規模の自衛隊を置くのは当然だ」と強調する。
予定地近くで働く女性は「今の時勢からすると自衛隊がいるから守られると思う。尖閣問題も人ごとではない。もっと地元が危機感を持たなければならない。力を持っていれば相手も攻めてこない」と容認する一方、「ただ、開南地区の人は不安に思うかもしれない。自分の庭に配備されたらと思うと…何も言えない」と複雑な心境を吐露した。
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