透析患者増、対応困難に 郡内3医療機関
島内で医療受けられない恐れも
末期腎不全に対する代替医療の人工透析(血液透析)を受ける患者が急増し、透析施設を有するよなは医院(与那覇朝樹院長、透析機器24台)、石垣島徳洲会病院(池原康一院長、同16台)、県立八重山病院(依光たみ枝院長、同14台)の3医療機関で対応が困難になっていることが11日、分かった。透析患者数は昨年末の159人からことし4月末時点で10人増の169人。安全に運用できる患者数166人を超えており、待機者が17人前後いることから今後も増加する見通し。与那覇院長は「透析運用能力の限界を超えている。このままでは島内で透析医療を受けられない人も出てくる」と危機感を募らせている。
腎不全患者への人工透析は、体内の▽老廃物の除去▽電解質(ミネラル)の維持▽水分量の維持—を目的に行われ、一般的には週2~3回、1回の透析で4時間以上かけて血液を浄化する。透析患者の増加は、糖尿病による腎不全患者の増加、高齢者の増加などが要因。糖尿病患者には未治療、治療不足も多いという。
3施設には54台の透析機器があり、同時に透析できる能力は59人で1日最大収容能力は176人となっているが、安全に透析ができるのは166人という。
よなは医院は今月末から透析機器を2台増やすとともに全自動化で効率化を図るとともに、8月以降の旅行透析の受け付けをストップ。新八重山病院は透析患者のベッド数を現在の14床から16床に増やすことにしているが、3施設全体では機器やスタッフが足りない状況に変わりないという。設備の導入は多大な費用がかかる上、各病院のスペースの問題から厳しい現状にある。
観光目的の旅行透析は、よなは医院と徳洲会病院が行っており、昨年は230人を受け入れ、好調な観光で今後も増えそう。徳洲会は現段階では予約制限を行っていないが、よなは医院の予約制限によるしわ寄せが予想されることから、担当者は「状況をみながら対策を検討したい」としている。
3施設持ち回りで2カ月に1度開催されている八重山透析連絡協議会が11日夜、よなは医院で開かれ、対策として▽観光目的の旅行透析の制限▽透析予備軍の早期紹介▽腎臓病の早期発見・早期治療▽透析スタッフの増員・応援の検討▽新八重山病院の透析室拡張(30床)▽腎移植の推進(臓器意思表示カードへの登録)—などを確認した。
八重山病院での透析室拡張について依光院長は「厳しい面もあるが、地元から声を上げることが大事」と述べた。石垣市の前底正之市民保健部長は「予防は市町村の役割」と予防や啓発に取り組んでいく考えを示した。
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