生態系への影響懸念 漂着ごみ対策必要
- 2017年05月07日
写真説明…廃プラスチック類ごみの劣化、破砕で微細化したマイクロプラスチック。生態系への影響が懸念されている
マイクロプラスチック大量混在
漂着ごみ研究家で防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏(68)が3月16日から4月15日までの31日間、八重山の6島43海岸の計28.1㌔の海岸で漂着ごみの調査を行った。5㍉以下のプラスチック「マイクロプラスチック」の調査では、昨年に続き大量に混在している海岸域が多くみられた。マイクロ—は、廃プラスチック類ごみが漂流・漂着の過程で波風、塩分、紫外線、降雨などにさらされて劣化、破砕されたもの。山口氏は「亜熱帯海洋性気候に属し、紫外線・気温の高い八重山諸島の海岸域では、漂着した廃プラスチックの劣化破砕が進展しやすい」と指摘する。
廃プラスチック類ごみは、製造過程で添加される化学成分の有害物質を含んでいるほか、漂流中に汚染物質などを吸着。微細化したマイクロ—は、海生生物の体内への取り込みが容易となることから、生態系への影響や食物連鎖による汚染リスクの拡大が懸念されている。
山口氏が2016年春、八重山の6島35海岸で初めて調査を実施。1㍍四方の調査枠(面積1平方㍍)で集めたマイクロ|の総量は8万4444個に達し、1調査枠当たりの平均は2413個。日本列島で非常に高い漂流密度と指摘されている東京湾の海水1平方㍍当たり約6個と比較すると、極めて高くなっているという。
山口氏は「回収・除去は絶望的なので、廃プラスチック類ごみを放置することなく迅速に回収・除去することが一層重要になる」と訴えている。
山口氏の漂着ごみ調査は20年目。今回の調査した海岸の8割以上で清掃が行き届いているとの印象を受ける一方、海岸の端や岩礁域など人の出入りの少ない箇所では膨大な量の越境ごみが海岸域を埋め尽くしていたという。「軽減傾向はうかがわれず、むしろ増加傾向にあった。海洋越境ごみの軽減・防止対策に対する実践的な戦略を国に強く要請していく必要がある」としている。
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