新年度始まる
- 2017年04月08日
- 社説
■自然消滅の危機
2017年度が始まった。官公庁を始め各職場でも職員たちが諸課題に新たな決意で取り組むことだろう。
3月議会での石垣市長の施政方針を読むと矛盾を感じる。島の環境を守り活かすと言うが、自衛隊基地建設、ゴルフ場建設が計画され、市が計画を後押ししている。自然破壊に手を貸しているとしか思えない。
市長は同計画への疑問を投げかける市民からのいずれの公開質問状にも回答していない。
石垣市政が地方自治や石垣市基本条例の精神からますます乖離(かいり)して行くようだ。
■問題だらけの教育行政
問題の多い教育行政、文化行政については首をかしげるものばかりだ。
中学生の副読本『八重山の歴史と文化・自然』で「慰安婦問題」や「南京事件」の記述が市議会で一人の市議がとりあげ「軍や官憲が慰安婦を強制連行したという証拠はなかった。」南京事件についても「虐殺の証拠は全くないというのが政府の見解」と抗議しそれに対し中山市長や石垣教育長が見直しを表明、17年度配布を中止した。教育委員会はその理由を「16年度で副読本配布事業は終了した」と説明している。
しかし、執筆者たちは意見書を提出し慰安婦については河野談話、南京事件については外務省のホームページで日本軍の虐殺や略奪行為があったことは否定できないと反論した。
この問題ではアメリカの市民団体が中山市長や石垣教育長宛て反論の書簡を送りっており、世界的な運動にも発展しかねない。
教育委員会は3月24日の定例会で文言について文科省の審議官に打診してはどうかなどの意見が出された。大得教育部長は「文言や表現について改めて調査して、新しい体制での検討が必要と考えている」と述べている。
これは、新しい体制による副読本発刊をするということか。だとすれば、委員会は副読本編集委員会の執筆者たちの見解に真摯(しんし)に回答すべきだ。政府の公式見解さえ否定する態度は教育行政とは思えない。
■文化財の危機
旧大浜町浄水場跡地の文化財指定をめぐる教育委員会の対応も問題に思える。
石垣市文化財審議会(石垣博孝委員長)から文化財に指定するよう建議書が提出されたが、3月議会で中山市長は経済的損失が大きいとして新空港アクセス道路優先を表明した。
アクセス道路にかかる市有地売却については適切な時期に判断したいとのべた。
2月6日の文化財審議会と八重山土木事務所の「意見交換会」では文化財審議委員が意見交換ではなく事業説明会で文化財指定による開通の遅れを石垣市に賠償請求を行うというどう喝にも思えたと述べている。
これは、3月議会でも崎枝純夫議員が取りあげたが大得教育部長は「石垣市に損害や逸失賠償の対象となる具体的な詳細な説明はなかったように記憶
している」と述べている。しかし、当日、配布された資料には八重山土木事務所の作業内容として「石垣市へ賠償請求→(石垣市議会の議決)→沖縄県へ支払い」と記されており、詭弁(きべん)としか思えない。
市有地の売り払いがされていないのに、アクセス道路の進捗(しんちょく)が遅れた場合、なぜ石垣市が賠償を求められるのか。理解に苦しむ。
しかも指定をめぐって委員会は判断を放棄して市長に賛否を照会したというか主客転倒もいいところだ。文化財所轄の教育委員会が「公益性」を優先し「文化財保護」は二の次というならば文化財の将来はないだろう。
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