市が県に売却承認 旧浄水場跡の市有地
空港アクセス道路にかかる石垣市有地について市は、今年1月21日の公有財政検討委員会(委員長・漢那政弘副市長、委員8人)で、県に売り払うことを一括して承認していたことが分かった。市有地内にある旧大浜町の浄水場施設をめぐっては、文化財指定を求める文化財審議会(石垣博孝委員長、委員10人)の建議書を受け、市教育委員会文化財課が年内にも指定予定範囲を確定して関係各課に意見照会する予定だが、市長部局は売り払い方針を伝える見通し。文化財課がどう対応するかが今後の焦点となりそうだ。
浄水場跡については、八重山土木事務所が2010年7月13日、設計に際して文化財課(当時文化課)に意見照会を行っているが、同課は回答で一切触れておらず、「当時文化財に指定されていた訳ではなく、法的根拠がなかった。守る根拠がなかったので、(意見照会では)出していない」と説明する。
同事務所の東浜安邦所長は「(その回答を)最終的な判断として今のルートに確定した。その時に言ってくれていれば、避けることができた」と指摘する。
旧浄水場施設を所管する市水道部によると、施設は1983年3月31日、廃棄処分されて資産価値がなくなっており、「生産性がないので公営企業の活動には必要がない。経営の合理的、効率的な観点から、(県が)無料で撤去してくれるならその方がいい」(与那国明弘部長)と判断。県は15年度から、同部と撤去する方向で調整を進めてきた。
こうした経緯などを踏まえ、公有財産検討委はことし1月21日、アクセス道路にかかるすべての市有地について売り払うことを承認。通常は工事区間ごとに審議するが、アクセス道路の整備を促進する観点から一括して取り扱った。
一方、文化財課の現地調査では、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定されているヤエヤマシタン群落や、準絶滅危惧のコノハチョウなど貴重な動植物が見つかっており、審議会は「歴史的な価値だけでなく、自然環境の面でも守るべきだ」としている。
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