「染織に携わる生き方への称賛」 安本さん授賞式で喜び
- 2016年11月08日
【東京】学問と社会を結びつけることに貢献した著作に贈られる「第14回パピルス賞」(公益財団法人関記念財団主催)に南山舎(上江洲儀正社長)の「島の手仕事|八重山染織紀行|」が選ばれ、1日、千代田区の如水会館で行われた授賞式に著者の安本千夏さん(51)=石垣市大浜=が出席した。沖縄からの同賞の受賞は初めて。
同書は、八重山の染織文化に深い関わりのある人たちの手仕事を一冊にまとめて紹介したもの。同財団は毎年、学問的に功績の高い大学以外の書物に賞を贈っており、ことしは日本の美術・思想・文学をつづった「日本の精神史 上・下」(講談社)の著者長谷川宏さんとともに選ばれた。
同賞選考委員の納冨信留東京大学教授は、「織物や風景、人物の写真もある良い本。読んでいて島の生活の息吹、ゆったりとしてかつ奥深いリズム、色鮮やかな光と闇、海などの音が伝わってくる。手工業を取り上げながら、島の生活や歴史、人の生きざまというものが一つ一つの章から浮かび上がってくる」と講評。
また、「これだけカラー写真がふんだんに入った上質の紙を使った本が、どうしたら今どきこういう値段で出せるのか。一つの文化として沖縄、八重山にこのような出版産業があるということでもあり、もっと積極的に手に取らなければ」と称賛した。
受賞のあいさつで、安本さんは「八重山には島の数だけ染織文化がある。普通の家庭の主婦やおばあさんたちが家事や畑仕事、天気とも相談しながらその合間合間に少女のように目を輝かせて織物をなさっている。このたびの受賞は、八重山の皆さんの生き方に対する称賛じゃないかと受け止めている。これを励みに、私もより良い仕事をしていきたい」と喜びを語った。(黒島安央通信員)
関連するニュース
- 「貴重な視覚資料」平和学習への活用呼び掛け 刊行実行委員会 2020/09/12