5人未満休園に波紋 石垣市の幼稚園教育 不安、不満の声相次ぐ
石垣市教育委員会が8月26日の定例会で、入園申込者数が5人に満たない幼稚園を来年4月から休園すると決定して以降、園児数の少ない幼稚園の保護者らに波紋が広がっている。”寝耳に水“の決定に「事前に説明をしてから決めるのが筋」と不満が出ているほか、「5人の意味は何なのか」「へき地なんてなければいいということか」「小学校の統廃合につながっていくのではないか」と反発や不安の声が上がっている。
現在、園児数が5人に満たないのはひらくぼ、かわはら、なぐら、のそこの4園。
市教委の大得英信教育部長によると、休園措置は▽集団学習を通して質の高い教育を提供する▽幼稚園教諭らの負担の平準化を図る|ことなどが主な理由。宮古島市の同事例も参考にしたという。
これに対し、なぐら幼稚園に5歳児を預けている髙木理恵さんは「地域に幼稚園は必要。小規模には小規模の良さがある。5人の意味は何なのか。ちゃんと現状を見に来て決めたのか」と疑問を投げかけ、「小学校の統廃合の話が上がってくるのではと危機感を感じている人もいる。休園にするより子連れの若い人たちが住める環境をつくり、子どもの数を増やすなどの支援が重要ではないか」と指摘する。
同じく5歳児をのそこ幼稚園に預け、2年後に入園対象となる子どもを持つ40代の母親は「困る。地域密着型の幼稚園なのに、よその幼稚園にまとめて集団で、というのは違うと思う。集団学習をしたいというなら、へき地なんてないほうがよいのではないか」と怒りあらわ。
同幼稚園に4歳児を預けている大月渉さん(30)は「来年まで預けられると思っていた。ほかの幼稚園になると送迎も大変。運動会などの行事はどうなるのか」と不安げだ。
教育関係者は5人以上という基準に「集団の方がいろんな子から刺激を受けて学べる部分は多い」と一定の理解は示しつつ、「小規模ではじっくり地道に教育ができる。それぞれに善しあしがある」と強調する。
別の関係者は「幼小連携がまったくできなくなる。小学校での段差をなくす取り組みをしているのに、休園になるとまた(段差が)広がる」と幼小連携への影響を危惧する。
大得部長は取材に「2017年度末の待機児童ゼロを目指しており、説明するだけの時間的猶予がなかった」と説明不足を認める一方、「確かに急ピッチであると思うが、保護者の理解を得るために説明をしていくとしか言えない」としている。
市教委は22日午後2時から、石垣市総合体育館メインアリーナで17年度幼稚園・保育所の入園(所)申し込み説明会を開き、これまでの経緯や今後の方針を保護者に説明する。
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