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もはや全面撤去しかない

繰り返される基地あるが故の悲劇

 ■2000人が無言の抗議

 

 元米海兵隊員の軍属による20歳の女性暴行殺害遺棄事件に対する県民の怒り、悲しみは日を追うごとに強まっている。22日には女性団体の呼び掛けで追悼抗議集会が開かれたが、これまでの集会と違い、黒や白の服装に身を包んだ約2000人が在沖米軍司令部があるキャンプ瑞慶覧のフェンス沿いを無言で行進。「全ての基地撤去」「命を返せ」などのプラカードを掲げた静かな歩みの中で激しい怒りと深い悲しみを日米両政府に突きつけた。

 しかしこうしたおぞましい事件はいつまで繰り返されるのか。事件のたびに日米両政府から出る「綱紀粛正」と「再発防止」の言葉が何とむなしいことか。今回も事件発覚と同時にいち早く日米の政府高官や在沖米軍トップらが互いに謝罪し抗議したが、しかしこれが単なる形式的にしか見えないのは、何度も同じ事件が繰り返される両政府の対応への不信というものだ。

 被害女性が生まれた1995年に起きた3人の米兵による少女暴行事件で約8万5000人が集まった県民大会の当時の知事だった大田昌秀氏は、抜本的な解決策は「基地の全面撤去」と断じたが、確かに米軍犯罪をなくすにはもはや基地の全面撤去しかないだろう。

 

 ■市長らの発言に違和感

 

 今回の事件では県議会をはじめ県内の各市町村議会が次々抗議決議し、来月19日には95年規模の県民大会も予定されているが、その中で石垣市議会は20日、各市町村に先駆けて抗議決議を採択し、いち早く怒りを示した。これを受けて同日、中山義隆市長も憤りのコメントを発表した。

 しかし同決議や市長のコメントには違和感も禁じ得ない。それは質疑で野党側から「基地がある故の事件事故」の指摘に対し、決議を提案した自民などの与党側から「個人の問題」「安全保障政策とは別」の声があり、中山市長も「事件を米軍の存在とリンクさせてはいけない。事件は事件、米軍基地の整理縮小は整理縮小として対応すべきだ」と否定的に語ったという点だ。

 

 ■県民の怒りに向き合え

 

 全国のわずか0.6%の土地に不条理にも在日米軍の74%の基地を日米両政府から押し付けられる沖縄では、本土復帰以降5896件の米軍犯罪があり、そのうち今回のような殺人や女性暴行などの凶悪事件は574件に上る。

 これらが基地あるが故の事件事故というのは誰が見ても明らかだろう。現に基地のない八重山では米軍はもちろん自衛隊がらみの犯罪もない。それを「個人の問題」などとする自民系の議員の皆さんは、基地の存在と米軍犯罪は無関係とでも言うのだろうか。

 ましてや中山市長の発言は、事件を辺野古移設とリンクさせたくない日米安保優先、国防優先の安倍首相の発言かと思ったほどだ。

 翁長知事は23日、安倍首相にオバマ大統領に直接訴える機会と日米地位協定見直しを求めたが、首相が真に沖縄に寄り添うというなら、いずれも実現に努力すべきだ。それが今回も米国追従で沖縄の怒りが無視されるおざなりの対応となれば、沖縄の反基地運動はさらに高まるだろう。基地の県内たらいまわしでは悲劇はなくならない。

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