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スマホを置き本を取れ 

「豊かな思考力があっての若者」

■読書の機会を失うな

 「読書好きでも本読まず」―本紙は八重山商工高校の読書アンケート結果を大きく取り上げた(11月12日付)。今どきの高校生の生活実態が見えて興味深い。

 「読書が好き」と答えた生徒は50%。その一方、「9月に本を1冊も読んでいない」と答えた生徒は63%。本を読まない理由として▽時間がない40%▽興味がない25%▽読みたい本がない24%—が上位。

 また、生活の中でよく利用しているものは「音楽」「SNS」「TV」が圧倒的に多い。「本」はラジオを除けば最下位。

 これらのことから生徒たちは本当に「読書が好き」と言えるだろうか。あるいは読書は素晴らしいもの|という認識があるだろうか。  

 スマホは若者たちの間になくてはならないモノとなっている。ラインやツイッター等でつながり合うために片時も手放せない、いわゆる依存症ともなっている。スマホに関わる時間を読書に向けたい。読書から得られることは多い。いつまでも新鮮な感動として残る。人間への理解を深めてくれる。人格陶冶(とうや)だ。大人になる直前の生徒たちだからこそ、この静かな感動を味わってほしいのだ。

■スマホの特性を認めつつも

 情報源としてのスマホ活用もある。スマホは、いつ、どんな場所でも情報を得られ生活に役立てることができる。豊富な資料を得て勉強にも活用できる。ネットは第二の産業革命だ。産業や生活を飛躍的に発展させた。だが、こんな調査も残る。

 大学の授業で、読書習慣のある学生と、ない学生をグループ分けし同じ題を設問。これを小論文にまとめる調査実験をした。その結果、読書習慣のない学生は、ネットにあふれる情報をまとめただけ。読書習慣のある学生は、ネットを足掛かりに文献をたどって独自の意見を展開した。

 論文は自分の考えを論述するものである。ネットで検索しまとめることを、自分の考えのように誤解してはいないか。そこからは創造性や独創性は生まれない。何よりも独自の思考力を失った若者に魅力を感じない。今、伸び盛りにある若者が己の思考力をおざなりにしてはもったいない。この時期に読書をしなければせっかくの伸び代を狭めてしまう。調査実験はそんなことを言っているのではないか。

■「ONE BOOK」の尊さ

 書物―紙に文字を刻み文化の集積を図る代物。かつて、書物は権力と英知の象徴であり、その所有はある特定の階級にしか許されなかった。幸い、わが国は江戸時代中期には版元(出版プロデューサー)が出現し庶民に娯楽として本を提供した。今で言う「貸本屋」である。そのことが今の出版文化につながる。

 ノーベル平和賞を受賞したマララさんは、本のない地域の子どもたちに「one  book、one  pencil 」—をと訴える。私たちは先人の努力があって本を読む機会に恵まれている。否、恵まれ過ぎていると言ってもよい。本に渇望している子どもたちのことを考えるならば、「興味がない」「読みたい本がない」とか言えるだろうか。また、「時間がない」ならばつくればよい。「いつだって読書日和」だ。

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