漂流ポストの旅を演劇に
- 2015年11月22日
- 社会・経済
南三陸町演劇チーム「おらほの劇場」のメンバー=21日午前、西表島北東部のユツン川河口付近
西表島の漂着地を訪問
2011年3月11日の東日本大震災で宮城県南三陸町歌津から流され、約2400㌔離れた西表島に漂着した後、ふるさとに戻ってきた郵便ポストの旅を、演劇「おけーり うたつのポストくん」に仕立てた同町の演劇チーム「おらほの劇場」のメンバー8人が21日午前、ポストが流れ着いた西表島ユツン川河口付近の海岸を訪れた。22日の石垣島公演を前に、ポスト役を務める高橋未來さん(28)は「戻ってきたポストの中は空っぽだったが、いろいろな人の思いを持って帰ってきてくれた」と感謝、公演でポストの思いを代弁する。
ポストは、コンビニエンスストア「セブンイレブン宮城歌津店」に設置されていたもの。津波で流された後、12年12月28日にユツン川河口付近で発見された。翌13年8月11日に帰郷したポストの無事を祝い、BEGINが中心となって毎年、「あげぇポストのたびまつり」を開催している。
震災前、ポストをよく利用したという佐藤裕さん(22)は「歌津では四角のポストは珍しく、戻ってきたときにすぐあのポストだと分かった。道のない海の上を歌津からここまでやってきた」と感慨深げ。
ポストの上に缶コーヒーを置き、よく友人らと会話していたという宮川賢司さん(41)は「ポストがあるのは日常の風景だった」と思い出に浸った。
千葉裕美さん(29)は「津波で多くのものが奪われたが、ポストが戻ってきてくれた。ポストは皆に『もしかしたら』という希望を与えてくれた」と話した。
ポストを保管していた西表島エコツーリズム協会によると、ポストは船などと同じ繊維強化プラスチック(FRP)製で、郵便物は入っていなかった。
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