「生息域守る努力を」 ヤマネコ発見50年シンポ
- 2015年06月29日
- 社会・経済
観光形態の多様化など懸念
イリオモテヤマネコの発見から50年を記念したシンポジウム「奇跡の命どう守る」(イリオモテヤマネコ50周年記念事業実行委員会主催)が28日午後、石垣市民会館中ホールで開かれた。琉球大学理学部の伊澤雅子教授が基調講演を行い、今後の課題として「ヤマネコの生息域を守るため、観光ガイドラインの整備やエリアの規制などを考えていかなければならない」と訴えた。また、ヤマネコとの共存やこれからの50年について語るパネル討論、うちなー噺家・藤木勇人さんによるヤマネコが天然記念物になるまでの一人芝居も行われた。(9面に関連)
伊澤教授は南ぬ島石垣空港開港後、西表島を訪れる観光客が増え、観光形態も以前のバスや遊覧船観光から近年はトレッキングやカヌー、沢登りなど多様化しているとして「生息域の植物やエサとなる小動物の環境が壊されることで、ヤマネコが縄張りを追われかねない」と、ヤマネコの生息する内陸山地部への影響を懸念。
「自治体や民間で認識を共有し、ガイドラインの整備、エリアや人数の規制、ガイドによる指導などを考えていかなければならない」と指摘した。
また、ヤマネコの交通事故についても「道路にひかれたカエルや鳥などの死体があると、それを食べようとして道路に出てきて車にひかれるケースがある」とした。
伊澤教授は「ヤマネコを守るためにはヤマネコだけに注意するのではなく、エサとなる小動物を含めた生態系そのものを守っていかなければならない」と述べた。
来場した40代男性は「ヤマネコがこんなにいろんな種類の生き物を食べているとは知らなかった。自然を壊さないように注意していきたい」と話した。
市民会館中ホールロビーでは、ヤマネコの写真パネル展もあり、来場者が興味深げに見入っていた。
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