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生まれながらにして学ぶ権利がある

給付型で負の連鎖を断ち切れ

■富の再配分の創造

 このところの世相や持たざる人々の鬱積(うっせき)もあって「学びの負の連鎖を断ち切れ」の声が高まっている。本紙社説でもそれを取り上げてきた。向学心に燃える若者にとって、生まれながら貧困であるがゆえに学びの道が断たれるのは、不公平、不平等この上ないことであろう。そういう社会をつくってはならない|の思いで私たちは連綿と努力し英知を重ねて来た。それを経済の停滞や財源の理由で、いとも簡単にその機会を奪ってはならない。もう一度英知を振り絞り財政における富の再配分を創造したい。

■負の連鎖の断ち切り 

 学びの負の連鎖の断ち切りをこうイメージする。今、地球を周回する人工衛星がある。この衛星は軌道から外れることなく回り続けている。軌道を脱し次の目的地に向かうには自分自身の力ではかなわない。この衛星を逆噴射させる他者からの強いエネルギー、すなわち燃料が必要だ。この燃料こそが学びの負の連鎖を断ちきる「奨学金」と言える。

 他に頼ることなく自力で負のスパイラルを脱せばいいのではないかという意見もある。

だが、現行の社会システムからそう容易なことではない。できたにしても時間を要し、学びの機会を失う。多角的に考えてこのようなときにこそ供与の心を発酵させたい。

 戦後、本県には米国留学制度があった。さらに文部省(当時)による国費制度があり多くの若者が学んだ。そこでの学びが本県の復興に寄与する人材を育てた。学力や経済力をカバーしたこれらの制度がなければ、今ある沖縄の発展はおぼつかなかったのではないだろうか。これらの良策に思いをはせ、先人に学び、人材育成に尽くすときではないか。

 貧困のため、子どもが学びの機会を奪われ、能力を発揮する場を失うようでは本県の未来は暗い。奨学金制度の充実を期したい。

■動きが早かった県教委

 親の経済格差は子供の教育格差に直結する|への対応か、文科省は低所得世帯の子どもに対する経済的支援を拡充する施策を打ち出した。例えば大学生への奨学金の無利子枠3万人分増加や授業料減免枠6000人分拡大である。これまでも小中学生給食費就学援助、高校生学費無償化制度の導入などがあったが、わが国教育全体を俯瞰(ふかん)すれば焼け石に水の感は否めない。奨学金にしても貸与型で返済義務がある。この程度の手当では「子どもの貧困」解消にはほど遠い。

 そんな中、県教育委員会はいち早く動いた。県外大学へ進学する県出身学生を支援するため返済義務のない給付型奨学金創設を検討している。ぜひ実現をみたい。

 「奨学金」には、優秀な学生に付与されるもの|の語感がある。加えて、使命感を醸成させるようなものがある。先の国費学生もそんな思いであったことだろう。遠くは、戦前の師範学校生がそうであった。貧しい中にあっても「官費」を受け、刻苦勉励の末、教員になり郷土の師弟教育に情熱を注いだ青春群像があった。そのことは、NHK連続ドラマ「花子とアン」の「朝市」を思い浮かべればいい。要は学ぶ意欲のある若者を社会全体で支援してこそ沖縄の未来と振興がある。

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