経管栄養マップを作製 災害時に活用へ
災害時に経管栄養利用者が必要な流動食をどこにどれくらい用意すべきかを把握できるようにしようと先島摂食嚥下(えんげ)研究会、石垣市、八重山地区歯科医師会はこのほど、「経管栄養マップ」を作製した。5日夜、先島摂食嚥下研究会などは市健康福祉センターで完成報告会を開き、各地域の特徴なども発表、関係者と情報を共有した。
経管栄養とは、口から食事ができなくなった場合に胃や腸に栄養剤を直接入れて栄養摂取を行う方法。鼻から胃までチューブを通す経鼻経管や胃に直接穴を開ける胃ろうなどがある。
マップは石垣島と西表島の病院、医療介護施設、介護事業所などにアンケートを実施し、性別や年齢、要介護度、居場所などの情報をもとに作った。
解析の結果、8月19日時点で石垣島に168人、西表島に5人の経管栄養利用者がおり、そのうち入所が137人、在宅が36人いることが分かった。
特徴としては入所も在宅も要介護度5(最重度)で、75歳以上の高齢者が大多数を占め、若年者は胃ろうを選択しているケースが多いことが挙げられた。
八重山病院の社本博医師はマップについて「赤とオレンジの部分は津波が数㍍でも来れば危険な場所。20㍍以上の場所はおそらく八重山、かりゆし、下地第二脳神経外科の3カ所。これが現状」と強調し、「このマップでどこにどれだけ栄養食を支給すればよいかを把握できる。ぜひ行政で取り組んでほしい課題」と述べた。
質疑応答では、医療関係者から「利用者は流動的で調査を続けていくべきだと思う。今後の展開を聞き、協力できるところはしたい」という声があり、社本医師は「毎年、作っていかないといけない。経管栄養のエキスパートの講演会を行う計画もあり、そういうところから八重山で何をすべきか考えることも必要だ」と述べた。
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