野生生物の事故被害、過去最悪のペース
- 2013年07月27日
- 土曜リポート

国の特別天然記念物に指定されているカンムリワシやイリオモテヤマネコの交通事故が増加している。これから夏休みの観光シーズンで車の往来が激しくなることが予想され、さらなる事故被害の増加が懸念されることから環境省などではスピードを出し過ぎないよう交通ルール、マナーを守り運転するようドライバーに呼びかけている。(高良新輝記者) カンムリワシの保護件数(石垣島)は昨年1年間で11件だったが、今年は4月末までにすでに10件に上っている。イリオモテヤマネコも交通事故が昨年は2件だったが、今年はすでに4件発生しており、過去最悪のペースとなっている。 カンムリワシやイリオモテヤマネコの事故原因として路上でのエサとりがある。路上で車につぶされたカエルや昆虫、カニなどを食べようと路上に舞い降りたカンムリワシにドライバーが気づかずに車体が接触してしまうケースが多いようだ。 イリオモテヤマネコも同様で、エサを求め路上に出てきたところで交通事故に遭っている。 このほか縄張り争いでエサ場を追われた個体や、狩りが苦手な幼い個体が、手軽にエサを確保しようと路上に出てくる場合もあるという。 環境省やボランティアなどが、道路に看板を設置しドライバーに注意を呼びかけるも依然として事故は後をたたない。 ■野生復帰 保護され、治療やリハビリを受け野生に復帰する個体もいる。 石垣島で保護されたカンムリワシは、平田家畜病院(県野生動物救護獣医師)で治療後、石垣やいま村のケージ(県傷病野生鳥獣保護飼育ボランティア)に移され、リハビリを行い体力を回復させた後、放鳥している。 足輪を付けて、行動範囲などをモニタリングしており、昨年は5年以上前に放鳥したカンムリワシが順調に生育しているのが確認されている。 イリオモテヤマネコも保護された個体が、治療やリハビリを受け野生に復帰するケースが多く、今年5月には3例目となる放獣が行われた。 石垣自然保護官事務所の本田師久保護官は「車やバイクを運転する際は、速度や路上の野生動物の動きに注意してほしい。また、けがや死んでいる個体を見つけた場合はすぐに連絡してもらいたい」と話す。迅速な対応が大切な命を救う可能性にもつながることから、まずは知っておくことが大切だ。
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