文化財指定同意先送り 「真乙婆御嶽」で新川字会
- 2011年01月11日
- 地域・教育
新川字会(上唐利夫会長)は9日の通常総会で、石垣市教育委員会が求めている真乙婆御嶽の市指定文化財への同意について、結論を先送りした。賛否が割れ、意見の一致をみることができなかった。同意案件は昨年の総会に提出され、「字民の意見を聞く必要がある」として結論を留保して教育委側と意見交換会を開催した経緯があるが、今回も同様の結果に。来年の総会まで再び棚上げされることになった。
反対意見には、イビや拝殿を後方に移して境内を広くしたいという思いから「指定すると字会が触れなくなる」との懸念がある。総会では「字民にとってなんのメリットもない。手を加えることが字民の一存でできなくなる」と指摘した。
上唐会長は「指定しなくても文化財保護法の観点から縛りがある。字会がかってに手を加えることはできないのではないか」と説明したが、理解は得られなかった。
賛成者は「真乙婆御嶽の管理は字会が行っているが、字会の所有か」と指摘し、「われわれが文化財に触ってはいけない。指定して、豊年祭の場所として環境整備を市にやってもらうほうがよい」と訴えた。
総会資料によると、真乙婆御嶽は拝所が未登録、土地は登記簿上石垣市の所有となっている。
教育委は「文化財保護法の観点から御嶽は文化財の対象。指定の有無にかかわらず文化財の範疇に組み込まれるので、取り扱いについては市教育委員会と十分協議してもらうことになる」としている。
【真乙婆御嶽】
長田大主の妹、真乙婆を祭神としてまつっている。真乙婆はオヤケアカハチの乱(1500年)の際、首里王府軍の首里帰還を祈願し続けた功績により首里国王に謁見、神職を授けられた。御嶽の設立年代は不明だが、真乙婆の墓は16世紀前半と推測されている。御嶽の構造が大きく変化しておらず、学術的に貴重。個人墓を神体としている御嶽は例が少ない。
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