八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

わが家は木が多い。春夏秋冬、木には…

 わが家は木が多い。春夏秋冬、木にはさまざまな鳥がやってくる。しかし私はそれが何という鳥であるかは分からない。そのかわり鳴き声には敏感で、姿を見ないでも、ああ、あの鳴き声の鳥が今年もやってきたなどと聴きわけることができる▼自然派?の私は木の枝を落とすことはほとんどない。草もたいていは伸び放題だ。「閉門即是深山(門を閉ざせば即ち是れ深山)」とばかりにガジュマルの気根が風にゆれるのを眺めている▼雨あがりのある1日、珍しく草むしりだと庭へ出る。一心に作業を続け何げなく竹やぶのそばの草むらを払うと少し暗くなった奥の方に何かいる。カメだ。頭が黄金色の大きなセマルハコガメがじっとして目を細めこちらを見ている。秋の冷たさにカメの動きは鈍い。私は知らんぷりをして草を抜き続ける▼しばらくすると気配がするのでそっとふりかえるとカメが出てきてちっちゃなくぼみにたまった水を飲んでいる。ゆるゆると首をおろし首をあげそれをくりかえす。30センチと離れていない▼感覚と感覚!彼は私がいることを知っているし、私も彼がいることを知っている。そして互いにそれぞれの動作に熱中している。この緊密さ和やかさ、思わず私に笑みがこぼれる▼わが日ごろの確信犯的怠惰がもたらしてくれる静かな生活の奥行きである。(八重洋一郎)

関連するニュース

  • 関連するニュースはありません。

ページ移動

キーワード検索フォーム