1月
13日
2007

農地の可能性が問われる時代tweet!

Category: 社説



バブルに惑わされない知恵を

■沸き立つミニバブル
 石垣島がミニバブルに沸いている。バブルはまさに実体の無い経済活動。それが弾けると、それに手を染めた当事者が大やけどを負うばかりでなく、地域経済にとってもそのリバウンドの痛手は小さくない。
 今回のミニバブルは新石垣空港建設の始動が大きな誘因になったものと考えられる。さらに沖縄ブームがあり、その中から出てきたのが島への移住だということだろう。そのようなニーズを建設業や不動産業がうまく事業に取り込んだ結果、土地が高騰し、アパートやマンションが林立していわゆるミニバブル状態に変身したというわけだ。
 ちなみに昨年の石垣市人口動態を見ると、住民登録数が毎月数10人規模で増加している。例えば、1月末現在の4万7171人が10月末現在では4万7618人に。9カ月で447人増加、毎月平均約50人が住民登録していることになる。

 そのような傾向は01年以降顕著で、バブル崩壊後の90年代は4万2000から4万4000人台を維持していたのが01年から06年までに3000人強増加していることがその実態を示しており、そのような傾向がいつまで続くのか予断をゆるさない状況だ。

■土地ブームを懸念
 登録人口の他に登録しないで住み着いているいわゆる幽霊人口が4000-5000人はいるのではないかとの見方もあり、市の人口は実際は6万人を超えていることが予想されている。その結果、さまざまな問題の発生が懸念される。

 1つは、乱開発による自然破壊や生活環境悪化の問題。石垣島を1周して目につくのが所かまわず海岸線沿いや道路沿いに立ち並ぶ新築建物。住宅やアパートなど色とりどりの景観が彩る。現在石垣市は景観条例を市民の意見を取り入れつつ策定中だが、その間にもさまざまな建物が無秩序に建設されていく。
 その結果、島周辺の緑豊かな自然が虫食い状に破壊され、かつての自然豊かな海岸線が消滅しつつあるのは遺憾で耐え難い。そればかりでなく、所かまわず住宅などが増えれば道路や電気水道のインフラ整備などに税金が不合理に使われて市民の負担が増えていく。秩序ある開発が不可欠だ。

 2つは、土地ブームの再来で所かまわず土地の買い占めが横行しないか懸念されることだ。石垣島は過去に2回も土地ブームにさらされた経験がある。1度は復帰前後の70年代、田中総理の列島改造論による全国的な開発ブームにあおられて農地を含め2000ヘクタール余の土地が本土企業等に買いあさられた。
 2度目は、政府の内需拡大路線に乗って85-90年に大型バブルが発生し、その過剰流動性がリゾート開発に名を借りて土地を買い占めた。バブルが弾けた後銀行や企業等は大きな不良債権を抱え、いまだにその痛手は癒やされないままだ。

■守りたい農地資源
 次いで懸念されることは投資目当てに農地が買い占められないかということだ。それが進行すると農業破壊が起きる。

 過去の2回のバブルには企業や個人のマネーが財テクの名のもとに株式や絵画等の商品に向かったほか、その多くは土地買い占めにも投じられた。海の望める土地であれば見境なく農地も買われ、とてつもない高価格に農家は躊躇(ちゅうちょ)することなく農地を手放した。その結果、地域農業の意欲が次第に失われて耕作放棄地が急増し農業生産が衰退した。

 折しも今年から向こう3年間、団塊の世代が定年を迎える。07年に団塊世代を中核に支払われる退職金は13兆円ともいわれ、それを商機としてさまざまな提案がなされている。その矛先が当地に振り向けられる可能性も決して少なくないだろう。
 彼らが移住してそれまでの知識やノウハウを当地産業に振り向けてもらえば幸いだが、バブルの一端を担って土地投機に走れば前回のバブル同様に農業破壊が起きかねない。慎重な対応が必要だろう。

 これからは、農地の秘める可能性を大切にしたい。第1は世界人口の増加で食糧の危機が迫る。わが国は食糧輸入大国で自給率わずかに40%。国民の8割が自給率50%以上を望んでいる。第2は地球温暖化防止で世界はバイオ燃料普及へ動き出し、わが国も安倍総理の指示のもと国産バイオ燃料でガソリンの1割代替を打ち出した。
 今世紀は農地が秘める可能性を存分に発揮し得る知恵が問われる時代となろう。

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