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環境運動の大きな弾みに

地元住民以外の原告適格に一方で不安も
■支援者にも原告適格認める 特別天然記念物のイリオモテヤマネコなど希少生物が生息する西表島のリゾート開発の自然破壊は、環境権や精神的人格権を侵害するとして、地元住民と本土などの支援者計463人がユニマット不動産(本社・東京)を相手に、開発の差し止めとリゾートホテルの撤去を求めた訴訟の判決が先月下旬、那覇地裁であった。 窪木稔裁判長は「破壊や侵害の程度が社会生活上、受任すべき限度を超えている場合は、差し止めを肯定できる」としながらも、現状はこれにあたらないとして、原告の訴えを全面的に棄却する判決を言い渡した。 一方で地元住民以外の本土などの支援者が原告になりえるかについては「自己が給付請求権の主体と主張するものには原告適格が認められる」として、恐らく全国で初めて、すべてにこれを認めた。このことは、今後の自然環境保全など住民運動に大きな弾みになるある意味では画期的ともいえる判断といえよう。しかし一方で環境保全を理由に訴訟の乱発になり、地域振興のブレーキにならないかとの不安の声も少なくない。 ■西表リゾート 西表リゾートとは、ユニマット不動産(高橋洋二社長)が西表島西部地区の浦内川河口のトゥドゥマリ浜近くに建設した西表サンクチュアリーリゾートニラカナイのことで、客室数141室、4階建てで2004年7月、本格オープンした。しかし島の自然環境・生活環境の破壊などを理由に島の住民や本土の人々が2003年7月に開発差し止めを求めて初めて提訴、その後これまで3次にわたる提訴が行われ、今回その判決が出た。 しかし同問題は、開発するのも本土の大手企業、自然環境保全を訴えて反対するのも大部分が本土の人々。しかも弁護士も広く全国から公募し、支援者もインターネットで全国から募るなど、西表島を舞台に、監督も演出も出演者もほとんどが本土の人たちというはた目からは異様な展開をみせた対立劇だった。 こうした中で、今回地元住民以外の本土や沖縄本島の支援者などにも原告適格が認められたというのは、確かに今後資金もない少数の地元住民でも、島内外の人々の支援を受けることで、本土の大企業やあるいは行政と対抗して住民運動を構築できる、いわゆる今後の自然環境保全などの住民運動に弾みがつくという点で意義深い判断といえるものだ。 ■怖いのは訴訟の乱発 またこうした住民運動や訴訟の結果、同リゾート側も万一のウミガメの産卵に配慮して夜間は海側は宿泊客の協力を得て遮蔽カーテンをし、レストランも暗いと苦情が出るほどに照明を落とし、さらに汚水は2次処理を3次処理までに拡大して植栽に利用。ごみ処理も別に敷地を求めて炭化処理して地域に中和剤に提供するなど、島の景観に合わせて環境保全には最大限の努力をしているようだ。 ただそこで地域の人々が不安なのが、一方でこれが訴訟の乱発につながらないかという点だ。かつての白保海上案での新石垣空港建設問題、そして今回の西表リゾート問題に見られたように、確かに本土の人々が八重山の自然環境保全に与えた影響、功績は大きい。ただ中には地域の状況をまったく無視して、迷惑なほどにただひたすらに自然保護を求める過剰なほどの自然保護派もいる。 新石垣空港は本年度から本格的に用地買収に入るが、まずそこで心配されているのが、新空港建設に反対する600人余の共有地主の対応だ。大部分が本土在住者だが、今回の原告適格で地元の実態を知らない同じ本土の人々に支援を求めて訴訟を乱発ということになれば、大きなブレーキになりかねない。 既に進んでいる乱開発の歯止めに大きな後押しとなることが期待される一方、本土の人々や、八重山の自然に癒やしを求めてきた新たな移住者などによる過剰な自然環境保護への対応で、思わぬところから次々訴訟騒ぎが起き、地域にひずみを生じないかも気になる。そういう意味では地元住民以外の原告適格は、自然豊かな八重山地域にとって“両刃の剣”的要素もある。平穏な八重山をこうした問題で“訴訟社会”にしたくない。

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