Category: 社説
依然厳しい状況続く産婦人科医問題
■日に日に危機感高まる
6月以降2人が九州大学に戻り、八重山でお産ができなくなる恐れが出ている県立八重山病院の、産婦人科医確保を訴える声が日に日に大きなうねりになりつつある。危機感を募らせ、まず声を上げたのはさすがに母親の団体でもある八重山婦人連合会や石垣市女性団体ネットワーク会議など郡内の女性団体。先月27日県八重山支庁や八重山市町会に要請する一方で署名運動を展開。
しかしこれはは何も女性だけの問題ではない。当然父親である男性の問題でもあり、公民館や青年会、あるいは各種産業団体など地域の大きな問題だ。こうした女性団体の動きにこたえる形で石垣市、竹富町の両議会も2日相次いで臨時議会を開いて決議。そして翌3日には、さっそく合同で県や県議会に要請も行った。 これに対し県も保健福祉部の稲福恭雄医療技監らが「不安を与えないようにする。必ず確保する」と約束したが、しかし現時点で医師確保の見通しはたっておらず、依然厳しい状況に変わりはない。したがって今後ともなお波状的な行動、要請活動が必要だ。
■不安におびえる妊産婦
現在八重山病院の産婦人科医は4人体制だが、うち2人が派遣期間の任期切れで九州大学に戻るという。しかし残る2人は研修医のため異常分べんなどに対応できず、また郡内では民間にも出産に対応できる産婦人科医師がいないため、このまま後任の医師が確保できなければ、6月以降八重山ではお産ができない恐れが強い。
そのため6月以降にお産が予定されている市内の妊産婦らは「いつ陣痛が始まるかわからないし、ずっと那覇にいなければならないのか。しかも出産費用を工面するのも大変なのに、那覇に行かなければならないとなるといったいどうなるのか」と不安におびえている。確かに給料も少ない若い夫婦などは経済的にも精神的にも不安は強いだろう。これが竹富町や与那国町のさらに離島となると、なおさら負担は大きい。
それにしても今の時代に地元でお産すらもできないというのは、やはり異常事態であり、その地域にとっては危機的状況といえよう。しかも八重山は全国の中で最も元気があって本土などからの新しい移住者などで人口も増加している。それが産婦人科医が不在で安心して子供さえも産めないとあっては、少子化に拍車をかけ、今後の地域振興にも計り知れない影響を与えかねない。
■医師確保の体制作りを
石垣市の臨時議会も傍聴した八重婦連や育児ママの会などの女性団体は、県に要請するため各地域で署名活動を展開。さらに3市町では、今月17日に離島・八重山圏域の医療を考えるフォーラムを開き、そのなかで八重山の抱える医療問題を論議し、必要に応じて郡民総決起大会も開いて危機意識をアピールすることにしているが、ぜひ開催して離島の特殊性と組織的な医師確保の体制作りを県に訴えてもらいたいと思う。
近年医師の数はずいぶん増えたが、小児科医と産婦人科医は敬遠されて全国的に不足し、その他の医師も都市部への偏りが見られるという。そのため医師不足に悩まされている長崎は離島・へき地医療支援センター、岩手はアクションプログラムを策定するなど、各都道府県が独自に医師確保に力を入れている。
そういう点からするといつも綱渡り的な医師確保を強いられている沖縄は、確かに努力はしているだろうが、いまの結果からみると努力不足といえなくもない。ただ医師不足の問題は産婦人科医に限らず、すべてが住民の命の問題であり、県だけに責任を負わせるのではなく、各市町村も一緒に考える問題である。
新年度から琉大病院などと連携して医師不足対策を調査検討する新たな事業もはじまるが、これを機会に八重山も3市町が県と医師確保に積極的に連携し、郡民も後押しできる体制ができればと思う。離島といえどもみんなが安心して暮らせる島にするために。