八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

新型コロナで「群星寮」休所 本島進学の生徒ら混乱

群星寮で生活する与那国町出身の前外間清己さん。「新型コロナに感染しないか本当に不安だった」と当時を振り返る。

群星寮で生活する与那国町出身の前外間清己さん。「新型コロナに感染しないか本当に不安だった」と当時を振り返る。

 帰省強いられる

 「いつか新型コロナウイルスに感染するのではないか。不安と恐怖しかなかった」。

 県内で新型コロナの感染者が相次いだ3〜4月。八重山から沖縄本島の高校に進学した生徒は帰省を強いられ、当時の不安を語った。

 高校のない離島から本島へ進学する生徒を受け入れている寄宿舎「群星寮」には八重山出身者23人を含む107人(5月1日時点)が入寮している。

 新型コロナの感染拡大で学校が休校となった3月4〜13日まで、寮側は生徒の感染防止対策として開所後、初めて休所に踏み切った。入寮者全員が帰省することになり、八重山出身者は飛行機での帰島や本島の親族宅に身を寄せた。

 学校生活は一度、再開したが、収束の兆しが見えない新型コロナの影響で寮は4月7日から5月18日まで2度目の休所を決めた。再び入寮者67人が帰省対象となり、4月から新1年生として入寮予定の40人は延期する事態となった。

 「怖かった」

 西表島大原で食堂を営む横目英彦さん(47)は、3〜4月にかけて収入が前年の10分の1に落ち込み、貯金を切り崩して窮状をしのいだ。群星寮から那覇高校に通う娘のさくらさん(3年)を休所の影響で1度目は浦添市内の親族宅に預け、2度目は休校の長期化を懸念して帰省させた。

 当時、竹富町を含む3市町は島外からの来島自粛を呼び掛けていた。やむを得ない帰島と飛行機、船を乗り継ぐ3密を避けられない移動にさくらさんは「万が一、感染していたらどうなるのか先が見えずに怖かった」と振り返る。

 3市町教育委員会によると、2018年度から20年度までに本島の高校に進学した生徒は石垣市116人、竹富町33人、与那国町28人の計177人。新型コロナの影響で誰もが予想できない未曽有の事態は本島で学ぶ離島出身の生徒に大きな混乱を与え、保護者の経済的負担と子どもへの心労も増していった。

 移動による感染リスクの高まりや医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な離島へさくらさんを帰すことに不安を抱えていた英彦さんは「休校しても生徒が寮で生活を継続できれば本人や島への感染リスクは低くなる」と対策の必要性を訴える。

 安心して学べる支援を

 同じ寮生で南風原高校3年の前外間清己(さやみ)さん=与那国町祖納出身=は、2度の休所期間を島で過ごした。島外からの来島で家族全員が2週間の自宅待機の対象となり、弟は中学の入学式を欠席した。母親の洋子さん(50)は「入学式に参加できないはずの娘と一緒に自宅で家族写真を撮り、祝えたことはうれしかった」と喜んだ。

 単身で那覇市内のアパートに住む那覇商業3年の池田美南さん=同出身=は、帰省で家を40日以上空けたが家賃の支払いは続いた。

 母親の桃子さん(45)は「帰省せざるを得ない状況で家賃に加えて往復便の交通費も重んだ。離島の子が安心して学ぶためにも、緊急的な経済支援がほしい」と要望する。

 群星寮では第2、3波に備えた対応の検討に入った。担当者は「医療機関との連携や休所の判断も含めた寮の在り方を協議している」と話した。

  ◇  ◇  ◇

 新型コロナの影響で、本島の高校に進学した八重山出身生徒は改めて「離島苦」を突き付けられた。今後、求められる支援や対策は何か。八重山から約400㌔離れた本島で学ぶ生徒たちを取材した。(松井弥恵子記者)

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

ページ移動

キーワード検索フォーム