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旧満州で終戦を迎えたという男性Aさん…

 旧満州で終戦を迎えたという男性Aさん(故人)のことを聞いた。医療施設に収容されていた患者に付き添い、病院船で日本へ引き揚げており、抑留などを体験することはなかった▼旧満州で1945年8月を迎えた日本人の多くは、旧ソ連の参戦や現地の住民からの報復で計り知れない消耗を強いられた。「悲惨な逃避行を経験し、今でも人の死に驚かない自分がいる」と振り返る生還者もいる(9日付『毎日新聞』東京版)▼対照的に、Aさんは仲間同士で傷つけ合う姿などを目の当たりにすることなく日本へ戻ることができた。しかし、戦後はこれが逆に心理的な負担となった▼家族によると、Aさんは一時期、満州引き揚げ者の集まりに参加するのを控えていたことがある。悲惨な体験をしたほかの人たちには溶け込めないものを感じていたようだ▼激烈ではない戦争体験は、語られにくい傾向がある。戦争マラリアは多数の死者を出したものの、火砲や火器が猛烈に使われた沖縄本島の地上戦に比べると、その悲惨さをイメージしにくい。相手が頭に思い描きにくい体験を語るのは、時に骨が折れることだろう▼第2次世界大戦を同時代的に知る人たちがどんなに多くても、その当時の境遇はまちまちだ。きめ細かく目を向け、真摯(しんし)に耳を傾けなければと思う。(松田良孝)

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