重機による造成工事再開 防衛局「機械音に注意払う」
- 2019年05月27日
- 政治・行政
平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、沖縄防衛局は、国指定特別天然記念物カンムリワシの営巣活動を確認した4月26日以降中断していた重機による造成工事を、25日再開した。機械音に注意を払うなど保全対策を行うと説明しているが、軍事基地をつくらせない市民連絡会は「具体的ではなく根拠もない。こんな説明で作業を再開するのは納得がいかない」と反発を強めている。
この日は、伊波洋一参院議員が工事現場の視察に訪れ、連絡会の上原秀政共同代表らと、防衛局が借り上げている民有地の高台で本省の担当者から説明を受けた。一行は、環境省が営巣期としている4~7月の工事を停止するよう申し入れるとともに環境アセスメントの実施も求めた。
防衛局は3月までの調査で「巣材運搬やひなに食物運搬を行うなどの営巣に関する繁殖などが確認されなかったことから、営巣木はない」と判断、造成工事に踏み切ったが、4月の調査で工事現場から約400㍍離れた地点でカンムリワシの営巣活動を確認した。
伊波氏は視察後、営巣期間が4~7月となっている環境省資料をもとに「防衛省は基本的な認識が間違っている。着工しなければ現場近くでも営巣があった可能性がある。実態を把握しないまま工事を行っている。認識が甘い」と批判した。
以前から予定地背後の真栄里山周辺で複数のつがいを見ているという連絡会の嶺井善共同代表も「地元の専門家、地元でリサーチしている人と合同で調査していれば、今みたいな状況にならなかった」と指摘、上原共同代表は「アセスメントを実施しないから次々と問題が出てくる。今後も出るだろう。やり方がずさんだ。今からでも実施すべきだ」と要求した。
工事再開について防衛局は有識者からの意見提案を受けた結果として▽大きな機械音が突発的に出るような作業を控える▽通常の作業についても機械音に注意を払う|としているが、連絡会は「地元に環境省の事務所もあり、専門家もいるのに防衛局は情報を共有していない。有識者を明らかにしないのはおかしい」と疑問視する。
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