田原川氾濫で護岸崩落 県が拡幅工事計画
- 2019年05月23日
- 災害・事件・事故
【与那国】今月13日に50年に一度の大雨に見舞われた与那国島。祖納地区を流れる田原川(長さ1.29㌔)の氾濫で床上・床下浸水や十山橋付近の護岸の崩落が発生した。田原川は過去の台風襲来でも氾濫し、河川付近の住民に被害をもたらしている。管理する県八重山土木事務所は河川調査を行い、氾濫を防ぐため拡幅工事を計画。担当者は「着工時期は未定だが、なるべく早期に工事を考えている」としている。
与那国町によると、大雨による被害は、床上浸水9件、床下浸水18件、道路冠水7カ所、濁流に流され牛とヤギ1頭ずつが溺死。桃田原地区でサトウキビの一部倒伏、田原地区で収穫前の水稲が冠水。水稲は農家から等級に影響が及ぶという心配の声が上がっている。農作物への被害額は調査中。
農業基盤整備事業を導入した南帆安地区などでは、農道やほ場周辺でのり面が崩壊。田原川下流の十山橋付近の護岸が一部崩落し、JAおきなわ与那国製糖工場は排水経路が確保できず操業を一時停止。護岸に近い道路も片側通行止めとなった。崩落部分は土木事務所が土のうを積み応急措置を取っている。
大雨による人的被害はなかったものの、田原川に近く祖納地区でも特に低地の県道216号線は、200㍍にわたり道路が冠水。周辺の住宅や店舗に被害が及んだ。住民によると1㍍以上水に浸かった場所もあるという。
この一帯は過去にも台風や大雨で田原川が氾濫し浸水被害に遭っている。50年以上祖納に住む男性(70代)は「集中豪雨で集落の高い土地から低い県道に水が流れ込み、川が増水し今回のようなことが起きたと思う」と分析。別の男性(60代)は「川とナンタ浜がぶつかる河口幅の狭さが問題。排水がうまくいっていない」と指摘した。事務所が床上浸水の被害に遭ったという女性(50代)は、まちづくりや整備計画について「今回は人が流されなくて良かった。とにかく川が増水しない造りにしてほしい」と町や県に対して要望した。
土木事務所河川都市港湾班の担当者は「現在、工事に向けた調査を行っている。用地取得の問題もあり、実施設計を経て早めに着工したい」と話した。
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