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本質考えたい虐待事件

変容する日本社会に遠因

 事実は小説よりも奇なりという。人ごとと思っていた事件があれよあれよという間にわが身に降りかかってくることもある。千葉県野田市の小4女児死亡事件がそうだ。親の子に対する虐待はなぜなくならないのだろうか。

 ■小さな第一報

 事件が起きたのは1月25日のことだった。翌26日「小4女児死亡で父親逮捕」の見出しで沖縄タイムスに掲載された第一報は1段にも満たない横組みの小さな穴埋め記事だった。 

 それが27日になると女児が沖縄から転校していたことが判明、翌28日には糸満市内の小学校に通っていたこと、容疑者(父親)が沖縄県中央児童相談所に対して「娘を祖父母が引き取ったが、返してくれない」と相談していたことも分かった。いきなり児童相談所や糸満市も事件の当事者になってしまったのである。

 1月31日になると女児が千葉に引っ越すまで住んでいた糸満市が父親の児童虐待や母親に対するDV(ドメスティックバイオレンス)疑いで相談を受けていたのに女児本人に事実関係の聞き取りをしていなかったことが明るみに出て大騒ぎになった。県紙2紙も連日大見出しで報道するようになる。

 ■連携の不備も

 2月1日には女児が通っていた小学校が、市役所から見守りを要請されていたのにもかかわらず、対応を記録していなかったことが分かり、市教育委員会も不備を認めた。専門家も「事件後に明らかになった情報を見る限りでは、学校の対応に弁解の余地はない」と指弾している。

 虐待事件の発覚と解決が難しいのは元来家庭内の問題である点、親権という強い権利がある点などが壁になっていると考えられる。児童相談所はそうした親の権利を超えて子の命を守ることを使命としているはずだが、それがマンパワーの不足などさまざま要因で十分に機能しないことがある。今回のケースは転居や転校を繰り返すことで自治体間の連携の不備を突かれた点にすきがあったのではないか。

 一連の報道が耳目を集めているにもかかわらず、1月31日には、娘(6)の頭を冷水をためた浴槽に沈めるなどしてけがを負わせたとして無職の男(42)が傷害の疑いで那覇署に逮捕されている。暴行に気付いた元妻が那覇市役所に逃げ込み発覚したという。

 ■家庭で凶暴に

 かわいいはずのわが子を死にいたらしめるまで虐待する。何がそうさせるのか。加害者には二面性があるという。職場ではおとなしいのに家庭では凶暴になる。なぜそういう親が生まれるのだろうか。日本社会の変容にその遠因を求めざるを得ないのではないか。農業中心の社会で親子三世代以上がともに暮らしていた時代から都市化へと向かい、核家族化が進むなかでストレスが募り正常な精神状態が保てなくなっているのではないか。

 千葉の事件の容疑者である父親は普段は物腰の柔らかい人だという評判だった。糸満市でも周辺住民の話ではそうだった。加害者である父親は別の見方をすれば現代社会の被害者かも知れない。言い過ぎだろうか。法律の整備など対策も大事だが、問題の本質はどこにあるのか考えたい。

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