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歴史と文化示す資料に

「蔵元絵師画稿」国重文へ

 八重山からまた一つ、国の重要文化財(重文)が生まれることになった。国の文化審議会が18日、「八重山蔵元絵師画稿類(宮良安宣旧蔵)」(90点)など県内から3件を重文に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。

 ■先見性に驚き

 蔵元というのは琉球王府時代の行政府の出先機関のこと。現在の石垣市立八重山博物館隣の駐車場にその史跡がある。バス停に降りると目の前にその案内板が見える。蔵元の絵師というのは役所の記録係といったところか。当時の祭りや人々の暮らしの様子を絵にして残している。

 画稿というのは絵の下書きのこと。完成前の構想図といったところか。洋画の世界ではエスキースなどと呼んでいる。着色前の墨による下絵である。今回、重文に指定されるのは近世八重山を代表する画家と言われる喜友名安信(1831~92年)やそのおいにあたる蔵元最後の絵師、宮良安宣(1862~1931年)らが描いた90点。  「型絵染」の人間国宝で琉球王府時代の紅型の型紙を数多く収集したり、沖縄の文化財を広く研究した鎌倉芳太郎氏(1898~1983年)が1923年に美術工芸調査で来島した際、宮良安宣から譲り受けた画稿114点が1975年と82年に八重山博物館に収蔵されている。昨年11月には鶏の図など2点が鎌倉氏の弟子を通じて追加寄贈されている。

 ■克明な行列図

 蔵元絵師が残した記録図の一つ、「弥勒の行列」を見ると祭りの際の行列の様子が細かく描かれている。印旗(しるしばた)を先頭に大うちわを手にした弥勒の衣装の色などが分かる。後に続くのぼりや三角形の旗が江戸上りの行列図を連想させる。

 文化財は地域の歴史と文化を今日に伝える貴重な資料である。沖縄戦で多くの文化財を失った沖縄では特にその大切さが身にしみる。戦前期に石垣島まで足を伸ばし数多くの文物を観察、その文化的価値に着目、記録、収集した鎌倉氏の先見の明にあらためて驚かされる。

 八重山の国指定重要文化財といえば旧宮良殿内や桃林寺隣の権現堂などが知られているが、他にも重文級の文化財がある。同じ桃林寺の山門にある仁王像がその筆頭だろう。1737年の作というから280年を超える歴史がある。現存する物では県内最古で唯一の木彫像とされている。1771年の明和の大津波で流され、崎枝湾で発見されたという逸話が残されている。

 ■公開へ期待感

 桃林寺は臨済宗妙心寺派に属する。京都にある妙心寺がその総本山である。2010年1月に福岡県太宰府の九州国立博物館で開催された特別展「京都妙心寺禅の至宝と九州・琉球」で仁王像が展示されたのは記憶に新しい。幼いころ、桃林寺の前を通るのが怖かったという人も多いのではないか。像が立つ内部が薄暗くてよく見えないせいもあったのだろう。それにしても京都から1600㌔以上も離れた南の小さな島に仏教文化が伝わり息づいていることに感慨を覚える。

 蔵元絵師の残した画稿類は近い将来、公開されると聞く。文化財への関心の高まりを期待したい。

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