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庭の桜が満開だ。春が来る。若い頃、そんな…

 庭の桜が満開だ。春が来る。若い頃、そんな風情を楽しむことはみじんもなかったが、還暦を過ぎたせいか春暖がうれしい。旧暦の季節感が心身にしっくり馴染むようになった▼旧正の頃は桃やツツジが次々咲き、鶯が鳴く。まさしく春らんまん。本州と明らかに違う花鳥風月は、島々の文化風土の礎をなす▼デイゴが深紅に咲き、ツバメが北上する旧2月。春分には山野に純白のテッポウユリが咲く。誰もが心躍るうるずぃんの時節である▼浜下りサニズを過ぎれば、もう夏日の頃。こっかあらが南の島からやってきて美声を聞かせる。フクギが開花して梅雨入り。ユッカヌヒー・ハーリーが過ぎれば、梅雨明け。リュウキュウクマゼミが鳴いて、てぃだかんかんの真夏日、熱帯夜になる。るくんぐゎつの祭祀に若者たちは汗したたらせて躍動し、七夕の頃にはフクギの実が熟れ落ち、先祖敬いの日々▼台風を警戒する日々のなかで、とぅばらーま歌を聴き十五夜を迎える。熱帯夜と真夏日が終わり、かわってアラニシ(新北風)が吹く。サシバが渡る頃は、肌もち心地よい時節。島の暮らしは旧暦とともにある▼しょせん人間も自然の一部、ちっぽけな存在。月と潮の満ち引きのなかで生まれ死んでゆく。季節の移ろいさえいとおしい。そんな「旅の途中」である。(慶田盛伸)

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