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進化を続ける地方自治

「分権」背景に広がる裁量

 名護市辺野古の新基地建設のための公有水面埋め立ての賛否を問う県民投票に向け投票事務に必要な補正予算案の審議が県内各市町村議会で行われ、可決、否決、削除と対応が別れた。全県一致でなくて県民投票と言えるのかなどの議論も聞こえてくる。

 ■法改正で改革

 そこで思い出すのが県内初となった1996年の県民投票だ。米兵による少女暴行事件を受けて「日米地位協定の見直しと米軍基地の整理縮小」を求めるものだった。前年の県民大会では当時の大田昌秀知事が「本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを心の底からおわびしたい」と語った。

 その沖縄初の県民投票。当時のことを思い出しながら、あのときも今回のように市町村議会を巻き込みながら賛否で紛糾したのかと疑問に思った。当時の新聞をめくってみてもそんな事実はない。なぜか。その後の2000年に施行された改正地方自治法の規定があるからである。当時、全国的に叫ばれていたのが「地方分権の推進」だ。それまでの中央集権的な日本の政治、行政のあり方を見直し、地方でできることは地方の裁量に任せようという大改革だった。

 ■対等な関係に

 これによって国、県、市町村の関係も見直され、それまでの上下関係がなくなり対等な関係に改められたのである。それに伴い機関委任事務も廃止され上意下達的な事務作業のあり方は大きく変わり県の意向であっても市町村はそれぞれ独自の判断で物事を決められるようになったのである。

 ただ、だからといって今回のような住民発議の直接請求権の行使としての県民投票を「税金の無駄遣い」などという理由で拒否することは問題だという議論がある。行政学が専門で千葉大学名誉教授の新藤宗幸さんは次のように述べている。

 「たしかに立法の趣旨からすれば県には一切の強制力はない。ただ今回、県内の一部議会や首長が予算を否決、または執行しない方針を示していることの問題は地方自治法をめぐる解釈というレベルではなく県民の投票する権利を奪うという民主主義を否定する大問題だ」(24日付沖縄タイムス2面)。事務作業にかかる予算審議と主権の侵害といった憲法にかかわる問題とはレベルが違うと言っているのである。

 ■大統領も言及

 この辺野古新基地建設問題は国際的にも関心を集めている。ネットを使って埋め立て工事中止をホワイトハウスへ訴える署名活動がすでに16万件を超えている。びっくりするのがロシアのプーチン大統領が辺野古問題を熟知しているということだ。ロシア通の作家、佐藤優さんによると在沖米軍基地の強化に関して共同通信の質問に答えて大統領が次のように述べている。

 「地元の人々も反対している。すべての世論調査が反対していることは言うに及ばない。人々は街に出て、基地の撤去を要求している。いずれにせよ、既存の軍事力に加え、米軍の空軍力を強化しようとすることに人々は反対している」(22日付琉球新報3面)

 国際的に影響力のある人の発言だけに注目に値する。

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